【2j3j】通暁リベラル【ヤンデレ】

セロリの血液/ Lrn.I ページ43

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「本当にそー思ってる？」
「うん。昔から言われてるし。」

誇り高き彼女の唯一の弱点らしい弱点。昔から言われて来たにも関わらず、未だに反省の色さえ見せない彼女に仄暗い独占欲が芽生える。周りから甘やかされて来たんだろうな。可愛いなあ、可愛い。ずっと俺が甘やかしてあげる。無限の可能性を喰い潰して、自立とかいう輝かしい未来を俺に捧げて。

「なら、尚更心配だわ……。」
「ごめんねぇ。」

うふうふ呑気に笑っている彼女をぎゅ、と抱き締める。もういっその事、柔らかい寝台に拘束するか、大怪我をさせて自覚させた方が良いのだろうか。そうしたらお世話し放題で彼女も甘えて来てくれるかもしれない。頼まれたら全て叶えてあげるから此処迄堕ちて来てよ。

「まぁ、骨折位迄なら面倒見るよ。」
「優しいなあ。」

彼女は信じられない程無意識に怪我をする。だからこそ頑丈な檻に閉じ込めて永遠の幸せを約束するか、今直ぐにでもざっくり腹を裂いて恐怖を植え付けるかが一番良いと分かっている。けれど満ち足りた可愛い彼女の笑顔に霧散してしまうのだ。

「で、そろそろ再生して良い？」
「あ、うん。良いよ。」

彼女の嚔で出た鼻血の為に一時停止していたアクション映画。格好良い悪役の主人公の戦闘場面に入る時点で止めていたので、再生した瞬間に人を刺す生々しい音が響いた。豊かに実った果実にばしゃり、と血が覆い被さってゆく。筋肉の張り、弾力が音を通して耳に伝わって来る。

「ローレン、知ってる？」
「ん？」

ハイパフォーマンスを鑑賞していると彼女が溢す様に言葉を漏らす。甘美な約束を告げる様な春の乙女の輝きを纏った唇が浪漫的に上下する。艶やかに舌が滑って白い頬が健康的で優しい色に染まる。彩られた鼓動は一瞬で俺を魅了する。白鳥の語る愛の囁きの様にぽたり、と落ちて広がった。

「映画の人を刺す音ってセロリを切る音なんだって。」
「……え、マ？」

ちらり、と見た彼女の瞳には映画に飛び散る血飛沫が映っている。夜闇のガレージの冷たい倉庫をぼう、と眺める彼女はやっぱり生きていないみたいで、少しだけ背筋が寒くなった。ミステリアスな目元は一体何を考えているの。切口からぽたり、と透明な血液が滴った。

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