束縛に咲く/ K.Hyt* ページ11
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「今日は何をして過ごしますか？」
「わたし、」
贅沢な朝食を食べた。私は朝がとても弱いし、少食な為、多くは食べられなかったが、その味が絶品である事には違いなかった。彼と結婚する迄は至って普通の下流民として細々と暮らしていたので、彼との食事は食器一つ、使い方が分からなかった。彼からしてみれば酷く幼い様子に感動したらしく、逐一介助されながらの食事が当たり前になってしまった。
「私、Aさんの為なら何でもします。」
「……有難う。」
食後の柔らかな時間。彼は私の為に薔薇の香りがするキャンドルを焚いてくれた。甘くて芳醇で瑞々しい香り。茫然とそれを眺めながら私はもう既に自らの意思決定を下す事が出来ない事を知る。
彼に気付いて貰わなければ根腐れする人生。己の一切合切を彼に譲渡して、代わりに人生を組み立てて貰う必要がある。魂底からもう駄目になってしまったんだなと思った。束縛の中で彼だけが麗かに淑やかに笑顔を咲かせている。彼に囚われて、更に彼の好きな私へとさせられてゆく。これが幸せというものか。無我である事は一種の自由なのかもしれない。
「どういたしまして。Aさんのしたい事が決まるまで、こうして見詰めても良いですか？」
「……私、もう駄目かもしれない。何も考えられなくなってる。だから何がしたいとかも、もうよく分からないんだ。」
「そうですか。だったら私がAさんの代わりに全部考えます。Aはただ俺を愛してくれれば。」
己の核が彼に染色されてゆく様な声だった。彼に思考迄優しく塗り潰されて何も分からなくなってゆく。けれど最後に残った僅かな嫌悪感が彼の受容を拒否している。彼は私から人間である事を奪ったのだから。彼は私には毒なのだと。彼の為に魂は安寧を求めているのに気持ちは傾かない。愛するなんて未来永劫不可能だ。
「Aさん、愛してます。」
「うん……。」
彼の優しい声に安心した。彼に支えられて生きてゆく事に確かな安堵を覚えつつも強い嫌悪感がある。この美しい完璧な迄の愛情に反吐が出そうだった。嫌悪感を覚えれば覚える程、彼の愛がくっきりと輪郭を表して少しだけ憂鬱な気分になった。
「……好き、も愛してる、も無いんですね。でも私はAさんにとって都合の良い存在でも構わないんです。」
×リクエスト、kgmで「『愛してる』……も、無いんですね」という台詞を使ったお話。傾向はヤンデレで、シチュエーション等はお任せ。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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鵯(ひよどり)(プロフ) - イズミさん» お初お目にかからせて頂きます。ご愛顧賜れて何よりで御座います。リクエスト承りました。緩慢に連ねておりますので3日〜1週間程お時間頂戴する事、ご承知おきくださいませ。 (2022年11月29日 21時) (
レス) id: 9c96610dd1 (このIDを非表示/違反報告)
イズミ(プロフ) - 初コメ失礼致します。鵯様の作品の何とも言えない美しさの虜になった者です。リクエストでskngさんで束縛タイプのヤンデレは可能でしょうか…？その他のシチュエーション等はお任せ致します。 (2022年11月29日 18時) (レス) id: 58fc769308 (このIDを非表示/違反報告)
鵯(ひよどり)(プロフ) - 煙さん» 此方こそ大変有難うございました。そういう表現は旗付きにならない様にする事が出来ませんでした。無念。妄想で補ってくださいませ。大変申し訳ない。微力ながらも精進して参ります。よろしくお願いします。 (2022年11月20日 23時) (レス) id: 9c96610dd1 (このIDを非表示/違反報告)
煙 - リクエスト書いてくださりありがとうございます…！実物の彼はヤンデレチックな素振りをあまり見せないので難しいかなぁと思っていたのですが、見事に解釈一致で助かりました。これからも貴方様の美しい小説を楽しみにしております！ (2022年11月20日 22時) (レス) id: 0f6ec90c76 (このIDを非表示/違反報告)
煙 - いつも主様の作品楽しく読ませていただいております。リクエストなのですが、夢主が少し病み気質で手首に傷をつけたりしてしまうタイプで、夢主大好きなkgmさんがおそろいにしたくて真似しちゃうみたいなお話をお願いしたいです。 (2022年11月16日 17時) (レス) @page1 id: 0f6ec90c76 (このIDを非表示/違反報告)
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