毛布の猛威/ snpisn ページ28
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「そのまま眠ってしまってもいいで。会社への連絡は俺がしとくから。」
「クビ、に、なっ、ちゃう。」
彼は私を忘却の彼方に導く様にじわりじわり、と私の心を侵食してゆく。私が安心して眠れる様に。私が辛い現実を見てしまわない様に。彼は全てから目隠しをする様に私の視界を彼で塞いだ。くらくらと彼が分泌する甘い蜜に吸い寄せられてしまう。
「クビになってしまえばええ。そしたら俺が養うよ。」
「だ、め。ぺしんに、め、わく。」
鼻先にあまぁい蜜がとろり、と垂らされる。欲が腹の中で吠える、私に舐めてしまえと訴える。彼は肌につつーぅ、と濃厚な蜜を垂らす。その甘美さにぐるり、と腹が鳴る。もういよいよ我慢出来なくなった本能が私を激しく捲したてる。
「迷惑なんかやないよ。本当はずっとこのままAを甘やかしてぐずぐずにしてしまいたい。」
「あ、ぺし、」
しっとりした甘い音が額に弾けた。その小さく甘い成分を含んだ彼から発せられる音にとろとろと脳が溶けてゆく。額、瞼、鼻筋、頬。最後に唇。ちゅ、ちゅ、と落とされる唇は母が赤児を慈しむ様な淑やかな愛が含有されている様な気がして、今まで吠えていた本能と拮抗していた理性がなりを潜めるのが分かった。ずるずると彼のテリトリーに引き込まれる。足先から緩慢にずぶずぶと甘い蜜に浸かってゆく。それなのに全く不快でなくて、寧ろ心地良くて。甘く、あまぁく溶けて行く理性に縋り付くこともせず、ただ彼の体温に身を任せた。
「何にもせんくてええから、ただ此処に居て欲しい。それだけで俺はいいから。」
「うん……。」
意識も現実もするすると彼に絡め取られてゆく。このまま溶け合って一つになれてしまえたらとさえ思った。彼はただ私を抱き締め、あやし、安らかな夢の淵へと堕とした。甘く濃厚な蜜の源泉へと頭迄深く、深く。意識が遠のいてゆく。彼はそれでも私を腕の中に抱き締め、優しく優しく頭を撫でた。彼の微香と温もりに包まれて幸せな気持ちになった。これが仮初めの安寧でも構わないから、この穏やかな時間が少しでも長く続くようにと願って夢へと落ちる。彼が悪魔の様な悍ましい笑みを浮かべていたなど幸せに目が眩んだ私は気づかなかった。
脚に笑うはテディベア/ grppn→←毛布の猛威/ snpisn
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鵯(ひよどり)(プロフ) - 栄養失調さん» みんな大好きやまとちゃんですが、噂(史実)によると沈没日が4月7日付近らしいのです。厳密には沖縄周辺にはでは散っておりますが、あくまで全国平均です。大和戦艦ミュージアムで桜の花をモチーフにしていたりしたのでつい。コメント誠に有難うございます。 (2019年10月14日 7時) (
レス) id: 470ef09c6f (このIDを非表示/違反報告)
栄養失調 - 鵯さんの書く作品は本当に美しいですね。言葉一つ一つが繊細で……なんか、言葉にできないような、はい。頑張ってください！！！！(やけくそ) (2019年10月14日 1時) (レス) id: 3967b4b60c (このIDを非表示/違反報告)
栄養失調 - ちょっと待った(迫真)桜纏し大和戦艦……？さくら……さく……ら……？桜は散り際が……一番……(涙戦崩壊) (2019年10月14日 0時) (レス) id: 3967b4b60c (このIDを非表示/違反報告)
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