消しゴム恋愛成就論 ページ38
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恋が成就するおまじないがあるんだって！
カナリアか九官鳥のようにキャラキャラと無邪気に笑うクラスの女の子たち。興味なさそうに装うため、読んでいた本に目を落としながら、彼女たちの話を盗み聞く。正直、興味津々。是非、知りたいものだ。年頃の女の子である私にはおまじないや占いといった類のものが好きで無垢に信じていた。
彼女たちの話によると、新しい消しゴム、所謂封の切られていない新品のものに自分が恋患う意中の相手の名前を書き、最後の最後まで使い切ることにより、恋愛が成就するといったものだ。
ちなみに使用中に他人の手に触れられたら効果を失うらしい。幼子特有の純粋無垢な思いつきで単純にも実践することにしたのだった。
放課後、誰もいない教室で。空が美しく飴細工のように姿を変え、雫のように陽が放射状に光線を延ばしている。そのうちの一線が我が教室にも差し込み、部屋の中を秘めた想いを反射するようにノスタルジックに染め上げていた。
封を解き、薄いビニルを剥ぎ取る。そうしてロゴの書かれたケースをそうっと抜き取る。出てきたのは埃一つついていない、何処か生々しい四角い物体。覚悟を決め、おもむろに筆箱から油性ペンを取り出し、キャップを捻る。
そうして空気抵抗もそこそこの白く氷のように鈍く光る面にペン先を滑らせる。滑走する指と滑落し染み付くインク。新品の消しゴムはそれだけで魅惑的なお守りに変化した。彼の名前、恋患う相手の名前がしっかり刻まれていることに少しだけ興奮する。
そうして眺め終わると丁寧にカバーを被せた。そうして興奮を冷ますように静かに溜息を吐いた。何処か艶かしいのはきっと気のせいだ。そうして段々と落ち着いて、もう一度彼の名を見るために消しゴムのケースを付けたり外したりといった意味のない単調な動作を繰り返した。
このくらいのまじないなら許される。効果はないかもしれない。誰かが憂さ晴らしに零した紛い物かもしれないのだから。
「実践しちゃうよね、やっぱり。」
自らの犯した過ちに少しだけ後悔。自身の席に座り、足を軽くバタバタと揺らしてみる。依然として消しゴムに染み込んだ彼の名前を視認してもう一度溜息。こんな簡単に成就するわけないよ。
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- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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(´・ω・`)Love(プロフ) - 鵯さん» リクエスト消化してくださりありがとうございます！流石鵯さま、期待以上のお話が読めて嬉しい限りです。良ければまたリクエストさせてくださいね。ありがとうございました！ (2017年12月29日 19時) (
レス) id: e516045fa3 (このIDを非表示/違反報告)
鵯(プロフ) - (´・ω・`)Loveさん» 大丈夫ですよ。ありがとうございます。気長にお待ちくださいませ。 (2017年12月28日 21時) (レス) id: 10532b6a12 (このIDを非表示/違反報告)
(´・ω・`)Love(プロフ) - 鵯のさえずりというページは消されたみたいですけど、リクエストってまだ受け付けてますか？もし大丈夫でしたら飴の出てくるほのぼのとしたお話が読みたいです！……こ、こういうリクエストも平気ですか？ (2017年12月28日 10時) (レス) id: e516045fa3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鵯
| 作成日時：2017年12月20日 18時
