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雪娘 ページ22

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年の瀬に誰も尋ねる人などいないだろう我が家に軽快なチャイムが鳴った。まるでアラームのようにけたたましく。訝しげに疑心暗鬼になりながら玄関の扉を開けた。

びゅう、っと一陣の風が吹き抜け、思わず目を瞑る。そこにはちらつく雪の結晶とともに小柄な娘が立っていた。一言で彼女の容姿を表すならば、花嫁姿の別嬪さんだ。白無垢を着て、紅を引いたその姿はどこか浮世離れしていた。

「お初目にかかります。私、雪女の末裔のAと申します。以後、お見知り置き下されば幸いです。」


彼女はそう言うと端正な所作で一礼した。唇が柘榴(ザクロ)のように真っ赤で目が冬の夜のように深い。肌は雪のように白かった。

「あの、どのようなご用件で?」


彼女はそう言うと少しだけ目を見張り、頰を染めて、けれど貞淑に言葉を続けた。

「急で困るでしょうが、お嫁に参りました。貴方様さえ良ければ私を嫁入りさせて下さいまし。」


本当に急だ。兎にも角にも女性を外に立たせるなんて失礼にも程があるだろう。古い屋内に入れ、彼女をあまり使わない客間に招き入れた。

改めて彼女と対面してみるとますます現実離れしている。雪の結晶を模した刺繍が白無垢の所々に入っていて、まるで雪の空のように神秘的だ。彼女にお茶出しをしてみたらお茶が凍ってしまった。どうやら本物の雪女らしい。しかし、彼女はすぐにお茶を元の温度に戻した。現代の雪女は中々にハイスペックらしい。

失礼を承知で彼女に許可を取って握手してみた。確かに普通より低めの体温だが、冷たすぎるということはなかった。控えめで清楚な娘が優しい笑みでニコニコと笑っている。

「それで、嫁入りさせて頂けますでしょうか。」


俺には結婚する相手もいないし、身寄りなんかもない。結婚をこの場で決めてしまっても大丈夫だろう。お見合いとそう変わらないだろうし。向こうには気があるようだし。

「わかりました。結婚しましょう。」


目の前の彼女は美しく笑って一筋だけ涙を流した。幻想的に美しい彼女は嬉しそうに「あい。」と返し、

「不束者ですが、よろしくお願いします。」


と一礼した。これが不可思議にも俺たち夫婦の出会いである。

努力と無理は別物→←糖度96% *


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  • 恋愛運: ★★★☆☆
  • 健康運: ★★★★★
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(´・ω・`)Love(プロフ) - 鵯さん» リクエスト消化してくださりありがとうございます!流石鵯さま、期待以上のお話が読めて嬉しい限りです。良ければまたリクエストさせてくださいね。ありがとうございました! (2017年12月29日 19時) (レス) id: e516045fa3 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - (´・ω・`)Loveさん» 大丈夫ですよ。ありがとうございます。気長にお待ちくださいませ。 (2017年12月28日 21時) (レス) id: 10532b6a12 (このIDを非表示/違反報告)
(´・ω・`)Love(プロフ) - 鵯のさえずりというページは消されたみたいですけど、リクエストってまだ受け付けてますか?もし大丈夫でしたら飴の出てくるほのぼのとしたお話が読みたいです!……こ、こういうリクエストも平気ですか? (2017年12月28日 10時) (レス) id: e516045fa3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2017年12月20日 18時

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