伍 ページ13
｢仕事が、付き合いが、忙しい……忙しいって、ぼくのところには…一日も来てくれなかった。
でも、先生が一緒にいてくれた。
大丈夫、君は一人じゃないよ…って、最期まで一緒に…｣
｢でも、救えなかった｣
｢うん。その罪悪感と、ぼくのおやからの罵倒……それで、‘先生’が生まれたんでしょう｣
｢……精神面は、強いと思っていました。
でも、救える可能性のあった君を救うことが出来ず……目の前で消えていく命を見て、何が医者だと、珍しく凹んでいました。
その時に、君のご両親から……。
アレが、トドメでしたね……情けないことに、‘私が’生まれました｣
ドッペルゲンガーは、その人の‘負’の部分が分身となって現れると言われている。
医者になったことは勿論ない。だから、気持ちを完全に理解することなんて俺には不可能だ。
けれども……
｢情けなくなんか、ないと思いますよ｣
｢え?｣
｢そうそう、人が亡くなって…凹むのなんて当たり前だろ!｣
｢でも、私は医者で｣
｢医者である前に、お前さんは‘人間’であろぅ｣
｢……人間｣
｢お前さんが生まれるのは、‘お前自身が’立派な人間だからじゃよ。
ゆっくりで良い、焦ることは無い、どちらの自分も受け入れて行け…な｣
｢……優しい、ですね｣
｢わしが優しいのではない。
そう思う、お前さんが優しいのじゃ｣
｢っ……ありがとうございます。
夢野さん、有栖川さん、そして……将哉[しょうや]くん。巻き込んでしまって、御免なさい。
私は、‘私に’帰りますね。
なんだか、今日は久しぶりにゆっくりと眠れそうです｣
そう言ってドッペルゲンガーは消えていった。最後に見えた笑顔はとても美しく、けれども何処か無邪気さを感じるものだった。
そして、少年の体も消えかかっている。
｢成仏、出来そうか?｣
｢うん、ありがとう。妖怪さん｣
｢礼を言われることはしとらんよ｣
｢えへへっ、でも、ありがとう。
お兄さん達も、ありがとう｣
そう言って、少年も消えた。
気がつけば外は日が暮れていて、月明かりが部屋に差し込み、二人が居た場所を照らしていた。
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ふぃっく - 一番気になるところで終わるのがウズウズします！！！！！！ぜひ続きを書いてください！ (2023年4月16日 14時) (
レス) @page38 id: 634615dde5 (このIDを非表示/違反報告)
心春(プロフ) - ロールロールさん» コメントありがとうございます。最近更新出来ずに申し訳ありません…。近々更新致します。あたたかいお言葉ありがとうございます。 (2020年4月5日 12時) (レス) id: 3f9e794f84 (このIDを非表示/違反報告)
ロールロール - はじめまして!とても楽しみに更新待ってます！体調管理に気をつけてください!応援してます。頑張ってください。 (2020年4月5日 0時) (レス) id: d8adda4a88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：心春 | 作成日時：2020年1月12日 9時
