女癖の悪い君はヤンデレでした[我妻善逸][鬼滅の刃]

第45話 優しい君 ページ2

「……こう？」


「は、」


頭がぼやっとしてよく分かっていないのか、俺の首に手を回してきたAを見て


自身の目を大きく開く


漫画だったら多分目玉が眼球事外れて20cmは飛んでるよ


「ち、違うから！逆！A自身に回すの」


自分が言ったのは"自分に“回せと言ったわけであって"俺に“回せという事ではない


一瞬、声が出なくなったが直ぐに早口で腕を退ける


これじゃあAが俺に迫ってるみたいじゃないか


「……んぅ？」


眠たいのか、頭がボーｯとするのか


赤い頬、虚ろな目で集点も定まらずフラフラと体が揺れる


「だぁぁぁもうｯ……！ 回していいから寝るな！」


再度首に手を掛け直してやる


腕から伝わる熱は妙に熱い


なるべく目線を逸らしつつ、俺はAの体を拭いた


▽▽


「はぁ……危なかった」


やっとAが寝た所で、俺は溜息を吐いた


「冨岡先生との件、謝ろうとして結局出来なかったし……」


気持ち良さそうに寝息を立てるAの頬を撫でる


まだ熱いし赤いが、雪のように白くサラサラとした肌が気持ちいい


結局、アレは勘違いなのだと冷静な頭で考えたら分かった。


冨岡先生は服を着ていたし、Aは上しか脱いでないし


「早とちりしちゃったなぁ……」


汗ばんだ前髪を掻き分けつつ、ベッドに腕と首を乗せAの整った顔を見つめる


「本当に16かよ……」


妙に幼い顔付きをしている割に、体の発育だけはいい


マシュマロの様に感触の良い頬は飽きないな


長くカールした白い睫毛が一瞬、ピクリと動いた気がする


「……ん」


やべっ 起きた？


そっと手を離そうとしたら、熱の篭った小さな手が俺の手を掴んだ


「へ、」


「……手、きもちーね」


へにゃり


寝たまま、俺の手を柔らかな頬に持っていき


スリスリとしては 柔らかく笑った


――久しぶりにAの笑顔を見た気がする


……正確には“俺に"向けた笑顔


何時も炭治郎や伊之助達にしか見せなくなった、柔らかくて可愛いらしい笑顔


へにゃりとした口元からはチラりと八重歯が覗いて

あどけなさの残る可愛い可愛い笑顔


それを久しぶりに見せてくれた


「A……」


何だか無性に愛しさで一杯になる


今すぐAを強く抱き締めては存在を確認したい


心とお腹がムズムズする、そんな感覚


「えへへ……炭治郎(· · ·)」


思わず近づいた顔はその場でピタリと止まった


丁度Aの桜色の唇と、自身の唇が重なりかけたタイミングで

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