大切な人の席【江戸川乱歩】

7席 ページ24

Aside

「……」

「(駄菓子を食べてる)」

「(↑と同じく駄菓子を食べてる)」

君たちは、今どんな状況か分からないだろう

まぁ簡単に云えば、説教を受けている

という事を全く無視して乱歩は昨日残しておいた駄菓子を食べている

僕も僕で乱歩が、お菓子を持ってきたこととこれから社長の説教を受けるということが混ざって、何を思ったのか一緒に駄菓子を食べている

この光景を見て社長は、変な汗を流している

「二人とも」

「あっ！」

「…厭、あっじゃないよ。何お菓子持ってきてるの？」

「そう云う君も僕と一緒に食べてたじゃないか」

「へっなんの事やら」

そんなやり取りをすると、社長の口から大きな溜息が出てきた

幸せでていっちゃうよー？

ふと思ったことが口から出そうになったが、これを云ったらあの鋭い目に殺されそうになったから飲み込む

「どっちもどっちだ…昨日は何していた」

「ガリバー旅行記を」

「何云ってるの？」

「うす……」

人がちぃょーっとボケただけなのに…

「はぁ、次からはちゃんと報告するように」

僕たちに呆れたのか(いや絶対呆れてるな)このまま説教が終わった

社長室から出てくると数人からにやけた目で見られたけど気にしない気にしない

今日一日誰からも話しかけられなかったね

まぁ仕方がないね

「A〜！暇ぁ〜！」

「知らなーい」

「ちぇ」

今日は平和な日らしいし、乱歩が暇するのも無理は無いね

「字間違ってるよ！」

まぁ…といって人の間違いを嬉々として指摘しないで

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