肆の巻 ページ5
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「うらさん〜暇やな〜。」
「暇なのはいい事じゃねぇか。」
これも家康様のおかげだ、といわんばかりに坂田を見つめる。
俺は浦田渉。昔から家康様に仕えていた浦田家の嫡男だ。まぁ、父上が死んだら俺が家督を継ぐことになっている。
「まぁ人の血が流れなくなったのはいいことだけど・・・。」
そしてこいつは坂田。赤髪と朱色の瞳が特徴的だ。俺の家臣の一人である。
「坂田。刀磨いたらどうや?香丸ちゃん泣いてるで〜。」
「あっ!香丸!すまん香丸!今行くわ!」
香丸というのは坂田が大事にしている刀だ。こいつに触れる以外は坂田は怒らない。なんせあいつは単細胞だからな。
「それより、浦田さん。今日は大御所様とおデートやろ?」
「あほか。あんなおっさんとデートなんて・・・おっとあぶね、口が滑った。」
「全く、そういうところ気づかれないのがうらたん凄いわ〜。」
おデート、などとからかってきたのは志麻。こいつは紫髪で桔梗色の目をしている。
俺の横で本を読みながら「坂田はいつでも幸せそうやな。」と相槌を打っているのはセンラ。黄色髪で檸檬色の目をしている。
二人とも、俺の家臣だ。
「大事なんだよ、上との関係は。」
「さっき言ってたことと違いますけど?」
「うっせーセンラ。上には媚を売らないとダメだろ。」
「まぁまぁ、それよりどこにいくの?」
元凶作ったのはまーしぃだろ。という気持ちがあって俺は少しむすっとした。
「・・・・・・吉原。」
「「はぁ!?吉原!?」」
「うるせぇお前ら!」
あわてて口をつぐむ。普段大きい声をあまり出さないセンラでさえ驚くのも無理はないか。
吉原は俺みたいな女に興味がないやつが行くとこじゃねぇもんな。
「てか、なんで?」
「あのおっさんまだ子作りするつもりなんじゃね?もう十分だろ。」
「秀忠様もおるし、家光様もおるし、お家は安定やと思うんやけどな〜。まだ足りんのかな?」
ていうか、俺らにはまだ正室もいないのに。
もしかして、あのおっさんは正室を見つけるために俺を吉原に連れていくのか?
「うらたんは無理やと思うよ。」
「人の心を読むなセンラ。仮にも主だぞ。」
「元遊女、元花魁が正室とか嫌だろ。いっぱいやらされてるのに。」
それにしても、まじで行きたくねぇ。遊女とか花魁とか媚び売るために生きている人間じゃねぇか。
そんな奴と一緒になりたくないわ。
「まぁまぁ、うらたん。可愛い女の子見つけてな?」
俺には無理だと思うがな。
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イチゴミルクキャンディ@サブ垢(プロフ) - PE@みたらし団子バカさん» わー!ありがとうございます!更新頑張ります! (2019年8月18日 19時) (レス) id: e98fc17c66 (このIDを非表示/違反報告)
PE@みたらし団子バカ - 更新頑張ってください! (2019年8月17日 19時) (レス) id: b72e644e8b (このIDを非表示/違反報告)
PE@みたらし団子バカ - これは私の好きな種類の話だ! (2019年8月17日 19時) (レス) id: b72e644e8b (このIDを非表示/違反報告)
いまりちゃん - もでらーと。さん» ありがとうございます!!(パソコンから返信しています。)そしてそしてもでらーと。様は様々な小説を書いていらっしゃるのですね!お星さまが坂田さん色で憧れます(笑)更新頑張ります! (2019年8月3日 22時) (レス) id: 42f8b00619 (このIDを非表示/違反報告)
もでらーと。(プロフ) - おもしろいです…!私、歴女&crewなので超嬉しい組み合わせです!更新楽しみに待ってます! (2019年8月3日 18時) (レス) id: 5d5b1bd419 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イチゴミルクキャンディ | 作者ホームページ:プロ野球
作成日時:2019年7月20日 20時