番外編 2 ページ39
・
吉原は美しい牢獄だった。
絢爛豪華な女たちの裏は、とてつもない上下関係が生まれていた。
私はその中に禿として入った。禿は花魁を世話する立場。いわや遊女見習いだ。
「あ、あの、よろしく、お願いします・・・・。」
「あら、新しい禿?よろしゅうございますわ。わっちのことは朝霧・・・朝姉さんともお呼びくださいまし。」
美しい着物、綺麗な目鼻立ち、洗練されたしぐさ・・・・。
初めて見る花魁に、目を輝かせたのを覚えている。
「は、はい!」
「あ、それで、名前を決めないと。そうねぇ・・・・和歌、なんてどうかしら??」
「わ、か・・・。」
朝姉さんにつけられた名前が和歌。津々楽という名前は遊女となったときに付けられた名前なのだ。
そこから新造となり、お客が取れるようになり。花魁までは上がることができなかったが、自分なりには頑張ってきた。三味線の稽古や、お化粧の勉強も欠かせなかった。
だが、お客は取れない。お客が取れないと見受けしてもらえない。それは年季明けまで吉原から出られないということなのだ。吉原の現状に疲れた私は、早く遊女をやめたかった。年季明けまでの日数を指折り数えた。
そんな日々の中、渉様と出会ったのだ。
「と、いうことなのです。」
「ふーん。中々壮絶な人生だったんだな。お前。」
渉様が笑う。えっと、笑い事じゃないんだけど。
江戸城から渉様の城に向かう最中の道中。前を行くのは渉様の家臣。先ほど名前を教えてもらった。
「こっからは幸せな事しかないぞ、なんせ4人がついてる。」
「そうだよー!和歌ちゃん!俺らがついてる!」
「ばっか坂田急に後ろ向くなや!前見てちゃんと歩け!!」
「志麻くんも坂田もうるさいで。あ、和歌ちゃん。ほんまに守るからな。嘘やないからな。」
渉様に見受けされて、渉様の家臣と出会えて、よかった。
夕暮れが照らす将軍のお膝元、江戸。私が昨日までいた吉原遊郭の回転の合図が遠のいていくのを背なかで感じながら、私は歩いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
100お気に入り、10000hitありがとうございます!!今回は感謝の気持ちを込めて、和歌ちゃんの過去を書いてみました(^▽^)/
いずれ他の登場人物の過去も書いていきたいと思っているので、作者の息抜き程度にお付き合いくださいませ!
136人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
イチゴミルクキャンディ@サブ垢(プロフ) - PE@みたらし団子バカさん» わー!ありがとうございます!更新頑張ります! (2019年8月18日 19時) (レス) id: e98fc17c66 (このIDを非表示/違反報告)
PE@みたらし団子バカ - 更新頑張ってください! (2019年8月17日 19時) (レス) id: b72e644e8b (このIDを非表示/違反報告)
PE@みたらし団子バカ - これは私の好きな種類の話だ! (2019年8月17日 19時) (レス) id: b72e644e8b (このIDを非表示/違反報告)
いまりちゃん - もでらーと。さん» ありがとうございます!!(パソコンから返信しています。)そしてそしてもでらーと。様は様々な小説を書いていらっしゃるのですね!お星さまが坂田さん色で憧れます(笑)更新頑張ります! (2019年8月3日 22時) (レス) id: 42f8b00619 (このIDを非表示/違反報告)
もでらーと。(プロフ) - おもしろいです…!私、歴女&crewなので超嬉しい組み合わせです!更新楽しみに待ってます! (2019年8月3日 18時) (レス) id: 5d5b1bd419 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:イチゴミルクキャンディ | 作者ホームページ:プロ野球
作成日時:2019年7月20日 20時