念参の巻 ページ29
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今日は浦田さんのお気に入りの女が城にやってくる日だ。
昨日から割に合わずそわそわしていた浦田さんは、今日は身なりをきちんと整えて出てきた。
「珍しいですね。」
「今日くらいはな。」
俺は津々楽和歌に文を届けた時に、一挙手一投足見逃さずにすべて見た。
正直、ここまで浦田さんの考えを変えた女だとは思わなかった。第一印象は普通の遊女。
だが、頑固な浦田さんが心を開いたんだ。きっと他の魅力があるに違いない。
一夜で浦田さんの人生を変えたぐらいだ。普通の女ならありえない。
「志麻くん、遊女さん見たんやろ?」
「ん、あぁ・・・。」
「綺麗やった?どういう人やった?」
坂田は今日の朝から津々楽和歌のことについてしか聞かない。それくらい興味があるのか?
「まぁ、遊女やし。」
「そうなんやぁ・・・!楽しみやな、早く会いたいな〜!!」
坂田のことだから、主君の大事な人を奪おうと考えているわけではないと思う。いや、ないと願いたい。そうでないとめんどくさい。
頭の中がお花畑なままでいてほしい。戦と刀のことしか考えない坂田であってほしい。
浦田さんが気に入った女だから坂田やセンラが惚れてもおかしくはない・・・ってなんでこんなこと考えてるんだ!?
惚れたという証拠はないじゃないか、全く、最近疲れているのか?それとも・・・・
いや、それはない。ない、絶対ない!!!!俺はそう言い聞かせると浦田さんの元へ向かった。
「浦田さん、吉原へ向かう準備ができました。」
「ご苦労、行くぞ。我らの姫が待っている。」
そういうと浦田さんは微笑んだ。冷たい翡翠の目が和らいだ。
「ここが吉原か〜!!にぎわってるな〜!!」
「今は昼見世やからそんなにいないはずやけど・・・・今日はなんかあったのかな?」
無邪気に喜ぶ坂田と妙に吉原に詳しいセンラが後ろにいる。
こいつらは恋愛をするのだろうか。前方に見えた女子たちを見ながら思った。
人の恋愛に口出しするほど俺はえらくないが・・・なんか気になる、別に変な意味ではないが。
そんなことを考えながら女子の檻を通り過ぎ、吉原の門へたどり着くと、前には着物で着飾った遊女らしき人が見えた。
俺はすぐに津々楽和歌だということが分かった。が、となりのセンラと坂田の会話に妙に気になって仕方がなかった。
「綺麗な人やな・・・。」
「せやね、これが遊女なんやな・・・。」
なんでだ?なんでなんだ?誰かこの感情に名前を付けて欲しい。
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イチゴミルクキャンディ@サブ垢(プロフ) - PE@みたらし団子バカさん» わー!ありがとうございます!更新頑張ります! (2019年8月18日 19時) (レス) id: e98fc17c66 (このIDを非表示/違反報告)
PE@みたらし団子バカ - 更新頑張ってください! (2019年8月17日 19時) (レス) id: b72e644e8b (このIDを非表示/違反報告)
PE@みたらし団子バカ - これは私の好きな種類の話だ! (2019年8月17日 19時) (レス) id: b72e644e8b (このIDを非表示/違反報告)
いまりちゃん - もでらーと。さん» ありがとうございます!!(パソコンから返信しています。)そしてそしてもでらーと。様は様々な小説を書いていらっしゃるのですね!お星さまが坂田さん色で憧れます(笑)更新頑張ります! (2019年8月3日 22時) (レス) id: 42f8b00619 (このIDを非表示/違反報告)
もでらーと。(プロフ) - おもしろいです…!私、歴女&crewなので超嬉しい組み合わせです!更新楽しみに待ってます! (2019年8月3日 18時) (レス) id: 5d5b1bd419 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イチゴミルクキャンディ | 作者ホームページ:プロ野球
作成日時:2019年7月20日 20時