ソレヲ人ハ恋ト言ウ

拾の巻 ページ12

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城の中は以前とは打って変わって平和だ。

「坂田は元気やな〜。」

近くで稽古に励んでいるのは坂田。俺と同じうらたんの家臣。

そして隣で俺の作った茶を飲んでいるのは志麻くん。同じくうらたんの家臣だ。

そして俺はセンラ。この城で浦田家に仕えている家臣だ。

「ちょっと前とは変わって大分平和やな。戦に駆り出される回数も減ったし。」

「そうやね〜。で、茶は美味しい？」

「ん、うまいで。和菓子とええ感じに混ざって美味しいわ。」

俺は社会勉強の為に武蔵に行ってうらたんに仕えているが、志麻くんと坂田は少し事情が特殊らしい。

聞くところによると助けられたらしい。世の中何があるか分からんなぁ。だからこの世界は面白いんやな。

「浦田さん大丈夫かな？」

「大丈夫やろ。場所は吉原やけど。」

そんな俺の主君は今大御所様と吉原にいっている。

聞けば大御所様の新たなる側室を探す、という名目らしい。まだまだ元気やな。

人選ミスにもほどがあるってくらい、うらたんは可愛い女の子に興味ないのに。下手すれば吉原の女の子を全員貶して帰ってくるかもしれへんな。

しっかり者で要所要所でちゃんとやるうらたんやから、そういうことはないと願いたいが。

顔つきは男前だし、寄ってくる女の子は選びたい放題なのに。勿体ないなぁ。

「俺も生足の女の子と戯れたい〜。」

「はいはい、志麻くん。鬱憤晴らしに坂田と稽古しておいでな？」

「は〜い。頑張りま〜す。」

まぁ俺は心の底からうらたんに仕えて良かったって思ってるよ？

多分、あの二人も。

うらたんがいずれ正室や側室を作ることとなっても、俺らの絆は固いから。

というか、お願いだから女の子に興味を持ってほしい(笑)そろそろ後継ぎ生まんと親御さん泣いちゃうでしょ。俺やったら泣くで？あと、男色を疑うｗ

うらたんに正室が出来たら心から喜ぶんやけどなぁ。

こんな心配ができる余裕が出来たのも、この平和な時代になってくれたからやんな。

前は戦続きで余裕なんてなかったからな。いい時代になったものだ。

それでも、この平和は表面上だけの物であって、俺らは今にも破れそうな和紙の上に立たされているんやろうな。

そう思うと、怖いな。この世界。

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