第十五話 ページ15
- 爆豪 side -
朝と昼の微妙な時間。
11時頃のこと。
「じゃあ次は...壊始。」
俺の周りを囲む連中から抜け出して、
身長がさほど変わらない『カイシ』
と呼ばれた女が先生の前に行った。
先生の言ったカイシの個性、『破壊』。
その言葉に、周りのヤツらはなんだなんだと
波のように前に出て行った。
背伸びをして見てるヤツが居るせいで、
カイシがギリギリ見えるか見えないかだった。
仕方なしに移動すると、ソイツはリンゴを
見つめて手に力を入れた。
瞬間に、リンゴは粉砕された。
暫く運動場に沈黙が走った。
俺は、ただそいつの手から落ちるリンゴを
眺め、顔を顰めた。
今の俺と、恐らく互角レベルの個性。
詳細は知らねぇが、
内容によっちゃアイツの方が一歩上
の可能性だってある。
気付けば、他の奴らはカイシを囲んでいた。
カイシは照れたように顔を赤くして、
逃げるように元いた場所へ戻った。
俺は、ただソイツに向かって顔を顰めていた。
.
放課後、カイシの周りにいた
連中が出ていくと、顔を突っ伏したソイツ
の前に立った。
ソイツは顔を上げると、カバンに手を伸ばそうとした。
一言、"オイ"、と声をかける。
少し間をあけると、『...な、なに？』と、
おずおずとした返事が返ってきた。
───コイツが、俺の上に立つかもしれない。
再び、顔を顰める。
「テメェ、ちょっと強ぇ個性だからって調子乗んなよ。
一番強ぇのは俺だ。調子乗ってっとぶっ飛ばすぞ」
目が合ったまま、俺の言葉を最後に沈黙が走る。
何も言わずに俺を見つめるソイツに
少し腹が立ち、「なんか言えや」、と、
ポケットに入れている手に力を込める。
少し間を開けて、そいつが口を開いた。
『...調子には乗ってないよ。
実際、私より爆豪の方が強いしね。』
俺を宥めるような口調でそう言う。
だが、ウソはついてるようには見えなかった。
「...そうかよ。」
俺はそう言って、
足早に教室を出た。
....アイツの目を見た時、
なんでかモヤモヤしたのは、なんでだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 427人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
縁(プロフ) - ケロまる。さん» 初めまして。私の作品を読んでいただいてありがとうございます。応援していただけると、とても励みになります！面白いと思って頂けるよう努めていきます！ (2023年2月12日 9時) (
レス) id: 36c180ca86 (このIDを非表示/違反報告)
ケロまる。(プロフ) - 初めまして。この作品を読ませていただいています。あなたの書くヒロアカの夢小説大好きです。上から目線になっちゃいましたが、更新頑張ってください！ (2023年2月11日 20時) (レス) @page31 id: 0601be7ffe (このIDを非表示/違反報告)
縁(プロフ) - 雪樹さん» 初めまして。励みになるコメントありがとうございます。不定期更新ではありますが、面白い作品にできるよう頑張っていきます！ (2023年2月2日 16時) (レス) id: 36c180ca86 (このIDを非表示/違反報告)
雪樹(プロフ) - 初めまして！今日この作品と出会いあまりにも面白すぎて一気に読んでしまいました。今後どうなっていくのかすごく楽しみです。更新頑張ってください！応援しています！ (2023年1月29日 22時) (レス) id: 671c591c53 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：縁 | 作成日時：2023年1月25日 20時
