検索窓
今日:1 hit、昨日:31 hit、合計:143,132 hit

32 ページ32

4日後、夜。
私はグルッペンと2人でK国の城内にいる。
勘づかれてはいけないので他の幹部は国で留守番をすることになった。
書記長や外交官は渋い顔をしたが、グルッペンの命令を受け入れていた。
私がちゃんと護衛するという条件で。
思わずそれに面食らったが。
私が逃げるとは思わなかったのか、と聞くと

tn「トンを見る目を見て、信じてええと思った。」

os「見定めとる途中やけど、ウィロウちゃんは馬鹿なことせんと思っとるから。」

とんだお人好しだ、と思わず思った。
さすがはぺぺの仲間といったところだろう。
さて、今いるのは王の私室。
兄さんはここへ直接報告に来ると王の日記に書いてあった。
私は隠れ、グルッペンは背を向けている。
服を着替えてもらったが、彼の背は本当に王に似ている。
思わず名を呼んでしまいそうになった。
時計はチクタクと鳴り続け、時だけが過ぎる。
真夜中になる頃。
石造りの階段が響く音がする。
そして、扉が開いた。

ni「…国王陛下、ご報告に参りました。」

…兄さん。
本当に、兄さんだった。
グルッペンはゆっくりと兄さんへ顔を向ける。
私も出てきて、出口を塞いだ。

ni「グルッペン…?ウィロウ…?!どういうことや!」

gr「K国は俺が滅ぼした。彼女は陸軍の大将から捕虜として連れ帰り、俺の補佐にした。」

彼の容貌は衰えておらず、相変わらず美しい紫の瞳をしていた。
今、その瞳は驚愕と絶望に染まっている。

『…兄さん。』

ni「ウィロウ…なんで王を、アイツを裏切ったん?」

『兄さんなら分かるだろう?この国の兵だった貴方なら。』

眉間に皺を寄せ、首を振る。
私は彼の頬を殴った。
衝撃で兄さんは床に倒れ込む。
首を横に振ったのが、許せなかった。

『王は国民の為ならいくらでも兵は死んでも良いと考えていた!だから無謀にも我々国に宣戦布告をしたんだ!今までの政策だった、我ら軍部を蔑ろにしていただろ?!』

ni「そう思うのはウィロウが貴族出身だからだ!俺ら庶民にとって、あの方はどれほど素晴らしい王やったと思う?」

『貴族だ庶民だ、私は今そんな話をしていない!国民だけを優先とした愚王の命令で死んだ私の部下達の話をしているんだ!』

gr「2人とも静かにしろ。」

グルッペンの低い声が地を這う。
私は兄さんから目を離し、グルッペンへ向けた。
紅い眼光が兄さんへ向けられている。
向けられている彼は、何を思っているのか。
グルッペンは腰の銃を構え、兄さんに向けた。



gr「お前は我々国の敵になるか?」

33→←31



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (226 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
628人がお気に入り
設定タグ:wrwrd , d! , 愛され
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

白夜のダンテ(プロフ) - 最新話の夢主さんのセリフの「やろうじゃないか」が「野郎じゃないか」になってます……!意図的なら申し訳ないですが (2021年3月28日 19時) (レス) id: 518088bb48 (このIDを非表示/違反報告)
かみぶくろ - え?好きです。すごく上手に設定をしてらっしゃるぅ(尊敬) (2021年3月22日 23時) (レス) id: 50a29b0d71 (このIDを非表示/違反報告)
1 - 主人公の祖国や設定が、一方的に悪い感じじゃなくて、良い面もあるけど悪い面もあったって感じでちょっとしたリアリティみたいなものがあって、とても好きだなって思いました!凄く面白いです!(食事の挨拶、某アニメのですよね。私も見てるんです!!いいですよね!) (2021年3月18日 8時) (レス) id: 3bc86cc6f5 (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - コメント失礼します。あの……かっこよくて、美しくて、強くて、素敵です。語彙力なさすぎました…。賭け事で勝ちまくる女性が性癖に刺さりました()これからも応援してます!! (2021年2月26日 16時) (レス) id: 83f48e582b (このIDを非表示/違反報告)
デザートローズ(プロフ) - あ...好きです(唐突な告白)ちゃうんすよ!別にバカラとかブラックジャックが大好きとかやないんすよ!もう一つ言って良いっすか?ウィロウちゃんクソ可愛い()結婚しよ() (2021年2月26日 0時) (レス) id: 5180c6be50 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:熊坂
作成日時:2021年2月21日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。