ジャックポット【wrwrd】

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『…そちらは9、私が8。負けました。』

gr｢まあ、最初だからな。次へ移ろう。｣

お互い次のカードを手に取る。
そして、最初に質問したのは

gr｢そのカードは10より上か下か。｣

『下です。』

gr｢ふむ…そうか。｣

彼は少しの間思考したが、カードは変えずにそのままだった。
オープン、と掛け声で開けば彼は10、私が9。
また負けだ。

gr｢…全く、面白いな。｣

『おや？そうですか？』

次の手を選ぶ。
今度は私が質問してみよう。

『そのカードは12より上か下か。』

gr｢…下だ。｣

もちろん、この質問で裏をかいても良い。
自分の持ってるカードより下の数字を言って翻弄させても。
ただ、私の手にあるカードは今は13。
12より下なら11に変えるか。
開けば、そこには同じ数字。
予想はしていたが…まあいい。

gr｢…バッティングしたか。｣

『ふふ、残念でしたね。』

gr｢わざと自分を追い込んでいるだろう。｣

『…運だけは強いので。自ら追い込まないと楽しくならないんです。』

舐められたものだ、と彼は鼻で笑う。
彼は次のカードを手に取った。

・

・

・

結果は引き分けになった。
手を抜きすぎたかもしれない。

『さすがです。』

gr｢…お前は俺の思考を読み、この結果になるよう仕向けただろ。｣

『素直に喜ぶべきだと思いますよ。』

gr｢国王はそうだったのか？｣

何も言わずに微笑む。
図星だったからだ。
彼は私の頬を撫で、見つめる。

gr｢…身分は公爵だったな。｣

『一応。』

gr｢和平のため、と言えば好都合になるな。｣

彼は私を軽く持ち上げ、ソファに座った自身の膝の上に私を乗せた。
逃げられないよう両腕を片手でまとめられる。

gr｢秘書ではなく、妻はどうだ？｣

頭でも狂ったか。
それが今の心情だった。
一国を治める人物が言う言葉ではない。

『…愚者のセリフだ。』

gr｢お前のような切れ者が隣にいれば安泰なのだが。｣

『あの書記長で十分でしょう。』

gr｢アイツは…って、違う。トン氏に求めているものとお前に求めているものは違う。｣

彼の目は真剣だ。
何を探ろうとしているのかが分からない。
ただこの先を言わせてはならないと直感的に感じた。

『…その先を言わなければ、私は貴方に永久の忠誠を捧げましょう。』

gr｢前王はいいのか。｣

『なぜ私が王の命令を退け、全軍撤退させたか。貴方なら何も言わずとも理解なさるはずです。』

彼はニヤリと口を動かし、私の手を取りキスを落とした。

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