猫の如くふらふらと ページ8
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『…ん、』
「A、朝ごはんだってさ」
『朝、ごはん…もぐもぐ』
「こらこら夢の中で食べないの。ほら行くよ」
東の優しい声に起こされて、半分引きずられながら談話室へと向かった。
朝早いというのに劇団のみんなはほとんど起きているようだ。
ちなみに今日は土曜日なので学校はない。何で早起きしなくちゃならんのだ。
「おはようA。目開いていないが起きてるか?」
『おみー…至のせいで寝不足なんだよ。朝ごはんあんがと、いただきまーす』
「それはお疲れさん。どうぞ召し上がれ」
「…隣、いいか」
『ご自由にどうぞ』
キッチンに戻っていった臣と入れ替わりで隣に座ったのは確か…十座だったっけ?
フレンチトーストに大量のクリームを乗せているところを見ると、こいつはどうやら甘党らしい。
『胸焼けしないの?』
「…足りないくらいっす」
『マジか。…今日駅の近くにあるドーナツ屋行くけど、一緒に行くか?』
「い、いいんすか?」
『女が多いから、そういうの気になるんなら勧めないけど』
「誰かと一緒なら、大丈夫っす」
あまり話さないタイプかと思ったけど、好きなことに関してはそうでもないらしい。
確か万里と仲悪いんだっけか。
十座の方がひねくれてなさそうだな。
「何か言ったかテメエ」
『十座の方がいい奴そうって言った』
「こんなバカでかい奴のどこがいいんだよ?」
「Aさんの方がデカいだろ」
『身長はな。俺は十座と違ってヒョロヒョロだけど』
朝飯で腹を満たした後、出掛けるまでには時間があるから軽くセリフの練習でもしておこうと、台本を持って中庭に出た。
暖かい日差しにぬくぬくしていると、何か語り合っている紬と知らないオレンジ髪のやつがいた。
「Aくん、おはよう」
『ああ、紬おはよう。こいつは?』
「…俺の事知らないのか?」
『え、もう自己紹介受けた感じ? 悪いな、物覚えが悪くてさ』
「いや、そうじゃなくて…。ふん、俺は皇天馬だ」
「天馬くんはテレビでも大人気の俳優さんだよ」
へえ。
テレビ見ないからなあ…知らないのか?ってそういうことか。
『ちょうどいいや、練習付き合ってくんね?』
「今は忙しいんだよ。今度にしてくれ」
『へいへい、それは失礼しましたー』
天馬はプライドが高いんだな、きっと。
仕方ない1人でやるか。
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あーか(プロフ) - 続き楽しみにしてます。 (2020年4月3日 17時) (レス) id: 460cee1a24 (このIDを非表示/違反報告)
哲弥 - あの…もう終わりですか? 俺楽しみにしてるんで、頑張ってください! (2019年6月6日 17時) (レス) id: 9dda0ba0f7 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - ひなさん» ありがとうございます!精一杯書かせていただきます! (2017年9月6日 21時) (レス) id: 77b318de68 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - サカナさん» ありがたいお言葉…励みになります!ありがとうございます! (2017年9月6日 21時) (レス) id: 77b318de68 (このIDを非表示/違反報告)
ひな - 続きとっても楽しみです!頑張ってください! (2017年9月6日 18時) (レス) id: 9dcf28c287 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ノア | 作成日時:2017年6月7日 22時