ありがとう6

262 ページ12

HIROside



関係者席でLIVEを見ていた時、一瞬隼の表情が固まった

笑顔がぎこちなくて、下唇を噛んで何かに耐えてる感じ



HIRO「あいつ…」



痛みか、副作用のどっちかが現れ始めた証拠だ

危険だと思って俺は関係者席を立った



トロッコは本ステージに着いているため、走って裏側に回る

曲が終わって、みんなはけたり、ボーカルは立ち位置に移動し始めた



何も異変がなくて大丈夫なのかと思ったが…



玲於「はやと！」

裕太「酸素ボンベと袋あります？」



そんな会話が聞こえてきて、やっぱりダメだったかって…


俺は急いで玲於たちの元に向かった


そこにはぐったり横になりながら過呼吸を起こす隼と焦って動揺している玲於の姿



HIRO「ちょっといい？」

玲於「あ……」



急に声をかけたからびっくりした玲於は言葉が出ないようだった



HIRO「隼！ちょっと起こすよ？」

隼「ｹﾎｯ…ん、はぁっ…はぁっ、ｯひゅ…」



結構長い時間続いてるな…

危険だ

隼の目は焦点が合わずぼーっとしている

酸欠だ



HIRO「隼！ゆっくり吸って！大丈夫だから」



口元に酸素吸入を当てて、呼吸に合わせて酸素を送っていく



隼「ゲホッゲホッ…ひゅ…はぁっ…はぁっ…」

HIRO「そうそう。上手だよ。あと何分？」

スタッフ「あと10分もないです！」

HIRO「痛み止め打ってある？」

看護師「はい！」



なら大丈夫かな…

だんだん落ち着いてきた隼の口から酸素マスクを外す




隼「はぁっ…はぁっ…はぁっ…ひ、ろさｯｹﾎｯ…」

HIRO「おし、よく頑張ったな。水飲めそうか？」



口元にストローを差し出せば二口程飲んだ



玲於「よかった…」

隼「HIROさん…ぉれｯ…ごめんｯ…なさっゲホッ…」

HIRO「うん、大丈夫。何も気にしなくて大丈夫」



隼を抱き締めればキュッと弱い力で握ってきて。

怪我をしてる分動きも悪くなる

ストレスや、不安を抱えているし、亜嵐への想いが強い分…限界を突破しちゃって…過呼吸になったんだろう…




スタッフ「あと5分切りました！」




HIRO「踊れるか？やめてもいいんだぞ？」




俺のこの問いに舞台裏がシーンっと静まり返った




隼「ぐすっ…やります！」

HIRO「よし。頑張ってこい！亜嵐も見てるからな！」

隼「はい！」




そして足にサポーターを巻いて、ステージへの階段を登っていく背中を最後まで見届けた

263→←261

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す