女の涙に我らは弱い173 ページ23
一体何が起こっていた。
依頼人からお金を受け取った後、通りかかった部屋から何やら揉め事のようなのが耳に届き、部屋を覗き込むとそこにはお妙と見知らぬ男がキスをしている場だった。
お妙はすぐ様男を突き放す。しかし、見てしまった現場。
「何やってんのぉぉぉ!!!お前らァァァァ!!!」
慌ててお妙は新八を止めようと立ち上がるが、九兵衛は焦りすら感じてない。
「新八くんか。相も変わらず姉離れが出来ていないらしい。
いい加減君も」
自分を知っている。その事に驚き、一瞬力が緩んでしまった。
その隙を逃さず、足を払われ隣室へと飛ばされる。
「強くなったらどうだ?」
障子を破り、受け身も取れず背中に衝撃が走った。吹き飛ばされた新八の元にお妙は慌てて向かう。
「別れのときだ。
君がそんなことでは妙ちゃんも心配で家を出られんだろう」
ふと頭に幼い時の記憶が浮かんだ。
姉がよく話していた相手。
「あんた……、柳生。
柳生九兵衛さんか」
痛む体を何とか起こす。
「いきなり現れて何言ってんだ……!
家を出るって一体どういう……」
「そういう意味さ」
「……!!!」
「僕と妙ちゃんは幼い頃、夫婦になる誓いを共に立てた。
許嫁だ。
今日をもって彼女には柳生家に来てもらう」
新八は理解が出来なかった。
夫婦になる誓い?許嫁?
一体どういうことだ。何を言っているんだ。
九兵衛の口は止まることがなかった。
「遠い昔に君のものではなく僕のものになっているんだ。
君に文句を言われる覚えはない」
お妙の方へと顔を向ける。
本人に説明してもらわないと意味が無い。
しかし、お妙の顔は自分が思い浮かべていたものではなかった。
九兵衛の言葉を否定もせず、受け入れてるようだった。
何も言わない彼女に新八は怒鳴る。
彼女の口から出たのは、謝罪。一体何に対するものなのか。
すると、庭園から何かが部屋へと転がり込んできた。
銀時と神楽と喜杏、そして何故か近藤だった。
「いでででで!!!
おい、何とかしろよ!お前のペットなんだろ!!!」
「違う!!!あれ実は王女!!!」
近藤達よりも大きいゴリラが部屋へと乗り込もうとしていた。
起き上がろうとすると、お妙や新八、見知らぬ人物が一人、もしや修羅場に突撃してしまったのではないか、と。
「……みんな」
後ろからゴリラの雄叫びが聞こえても、お妙の声が耳に届いた。
いつものような優しさでも、元気な声でもない。
「さようなら」
そう言った彼女の目には涙が溜まっていた。
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月見ソウ(プロフ) - 真代さん» 真代さんお久しぶりです!祝ってくださってありがとうございます。柳生篇はギャグも多いのに考えさせられるお話ですよね。それを表現出来てるか不安ですが、楽しんで貰えたら嬉しいです。応援ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。 (2021年5月6日 12時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
真代(プロフ) - ください! (2021年5月6日 3時) (レス) id: edcb4d77ca (このIDを非表示/違反報告)
真代(プロフ) - 「貴方の傍に」シリーズ、一周年おめでとうございます!!物語は現在、柳生篇ですね。守りたいもの、取り返したいもののために、強敵と戦う話ですが、この戦いを通して、どう変わっていくのか、また、主人公はどうなっていくのか、楽しみにしてます。連載頑張って (2021年5月6日 3時) (レス) id: edcb4d77ca (このIDを非表示/違反報告)
月見ソウ(プロフ) - みうしさん» コメントありがとうございます!1年も書いときながらまだ4巻なんで、申し訳ないです。嬉しく思ってくれること、本当にありがとうございます。今のうちに話を更新していきたいと思ってますのでよろしくお願いします。 (2021年4月28日 17時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
みうし(プロフ) - 一周年おめでとうございます!一年間も書き続けてくださっている月見ソウ様には感謝の気持ちでいっぱいです。この作品が更新される度に嬉しくなっています…wこれからの話の展開も楽しみです。更新陰ながら応援しております! (2021年4月28日 0時) (レス) id: f1ae5cae79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見ソウ | 作成日時:2020年12月11日 23時