視える系女子、異世界で奮闘してます【twst】 (ページ5)

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sin,4 ページ5

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「この者からは魔力の波長が一切感じられない……色も、形も、一切の無である。よって、どの寮にもふさわしくない！」

鏡の言葉に、周りがざわめきで包まれた。クロウリーさんは慌てたような声をあげる。

「魔法が使えない人間を黒き馬車が迎えに行くなんてありえない！生徒選定の手違いなどこの100年ただの1度もなかったはず」

『やっぱり、人違いだったじゃないですか!!』

「それはありえない……ちょっと！」

慌てたせいで、クロウリーさんの手が緩んだのだろう。先程の狸は逃げると、自分が生徒になると言い出した。ｰｰ大丈夫か、この狸。

「魔法ならとびっきりのを今見せてやるんだゾ！」

狸がそう言った途端、周りがまた青い炎の海に包まれた。私の目の前で、色んな人達があの狸をどうやって捕まえるか言い合いをしている。

(これ、危ないんじゃ……？)

「リドルさん、お願いできますか？」

「違反者は見逃せないからね。ーー首をはねろ(オフ・ウィズ・ユアヘッド)！」

リドルと呼ばれた赤髪の人が立ちそう唱えた途端、狸の首に重たい首枷がかかった。どんな仕組みかわからないが、狸は炎が出せなくなったらしい。凄く慌てている。

「どうにかしてください！貴方の使い魔でしょう?!しっかり躾を……」

『私のじゃないですってば！さっきから、何度も言ってるじゃないですか』

というか、ここにいる人達全員コレが視えているのだろうか。そんなに大量の人間に見えるということは、やっぱりこれは私の知っているソレらとは違うのだろう。

「え、そうでしたっけ？……ごほん！では、学園外に放り出しておきましょう」

「ギャー！離すんだゾ！オレ様は絶対、絶対、大魔法士になってやるんだゾ！」

叫び声もむなしく、狸は何処かに連れて行かれた。必死な姿に、少しだけ可哀想になるが直ぐにその思考を追い払う。

(アレが何であっても人じゃないんだから。同情するだけ、無駄だよね)

人ではないモノは、弱みや同情につけ込んでくる。人も人を騙すが、アイツらの方がタチが悪い。

「少々トラブルがありましたが、これで入学式は終わりです。各寮長は案内を……ん？マレウス君は？」

話を聞いていると、1人呼ばれていない人がいるらしい。会ったことないが、周りの反応で凄い人なのだろう。

その人が少し可哀想だが、それどころじゃない。

「おぉ、やはり」

……何故か声が、真上から聞こえてくるんですが。