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heart,1 ページ14

Ace,side

今日は、とことんついてなかった。昨日入学式で暴れていたヤツらを煽れば、まさか石像を焦がすなんて。

男子ばかりの学園で、女子というのは悪い意味で浮いている。更に魔法が使えない。そんな状況でも、ヘラヘラ笑っていて変な奴というのが第一印象……お気楽なんだろう。


「ま、いいや。窓拭き100枚なんてやってられるかっての。さっさと帰って……」


(大体、あの毛玉が炎使うから悪いんだし)

そう思って、さっさと寮に帰ろうとした瞬間あの独特の高い声が聞こえた。


「こーらーー!!」

「げ、見つかった!!」


振り返れば、先程頭にあった毛玉と女。オレがサボったことに気づいたのか、探しに来たようだ。寮に帰ってしまえば、こちらのものだと思い急いで走る。


『学園長命令なんだから、大人しく窓拭きしとこーよ』

「なっ?!お前、速くね?!」


声が間近で聞こえたかと思うと、女が追ってきていた。ーー男子高校生の足についてくるなんて、可笑しいだろ!!

それでも、まだオレの方が速い。このまま、振り切ってやろうとスピードを上げればすぐ向こうに男が歩いていた。


「どいたどいた!」

「えっ、お、おうっ?!」

『その人、掃除サボる悪い人です!!捕まえてください!!』

「なんだって?!」


青髪の奴に向かって、女が叫ぶ。青髪は、驚いようにオレを見るが気にしていられない。真面目くんなのか、迷っているようだ。

(ラッキー!このままなら、逃げ切れる!)


『なんでもいいんです!例えば、重たい物落とすとか!!』

「!なるほど!いでよ、重たい物!」


女の言葉に、青髪がそう唱えた。走っていたオレの体に突如、重い物が落ちてくる。


『なんでもいいって言ったけど……お、大釜だすなんて』

「やり過ぎたか……?」

「ぎゃはは!見ろよ、A!エースのやつ、ペッタンコだゾ!だっせーゾ!」


押し潰されたオレを心配そうに見る女と青髪。目に涙を浮かべて大笑いをしている、毛玉。


「いーじゃんかよ、窓拭き100枚くらいパパッとやってくれてもさー」

『残念だけど私、魔法使えないから……パパッと出来ないの!』


オレの前に来て、大丈夫?と女が手を差し出してくる。重ねた白い手は、オレの何倍も小さくて少し心臓がドキリとした。

(いやいや!オレ、初心かよ?!女子に手、握られたくらいで!!)

慌てて頭を振って、そう考えるが近づいた時に香った甘い匂いが頭を離れてくれない。

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作者名:ちょこもち | 作成日時:2020年4月24日 13時

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