花弁がよんじゅうよん ページ8
◇◆
善逸が死んでしまうように思えて、怖くて仕方なかった。原作では死なないってわかってるのに、手が震える。
平凡な高校生活を送っていたから、止血の仕方なんてものも知らない。ただ、自分の不甲斐なさ痛感していると不意に善逸の呼吸音が変わった。
心做しか、顔色も良くなっている。そうだった。善逸は、生きようと諦めず呼吸を続けてーー大丈夫。もうすぐあの人が来る。
「あら、Aさん?こちらにいたんですね」
頭上から声をかけられた。その柔らかな声に泣きそうになる。ーー良かった、ちゃんと来てくれた!
『しのぶさん!!』
「ここら辺の鬼を倒したのはその子ですか?かなり派手にやりましたね」
しのぶさんが、私の斜め下で横たわっている善逸を覗き込む。私の顔色をみて何かしら感じ取ってくれたみたいだ。
「大丈夫ですよ。傷は酷いですが、助かります」
優しく笑ってくれた。その笑顔に、強ばっていた体から力が抜けた。私の隣に降りたしのぶさんが、早速手当してくれるように善逸に手をのばす。
その時、何処からかドン!と何か大きな物が地上に降りたような音がした。しのぶさんはその音に一瞬、眉をひそめて私を見た。
「Aさん。さっきの音、聞こえましたよね?」
『はい、凄い音でしたね!鬼でも出たんですか、ね』
私の言葉に、笑顔を浮かべたまま何も言わないしのぶさん。ーーえ、待って待って?まさか。
「ここは私に任せて、冨岡さんと合流してきてくれませんか?大丈夫だと思いますが……十二鬼月がいるので、一応」
(ですよねー!!しのぶさんと善逸とここにいたら、あの馬鹿でかい鬼や塁くんと会わないとか安心してたよ私!!)
『ちなみに聞きますけど、それ以外の選択肢って……』
「後で、不死川さんに強化特訓されるっていう選択肢もありにしましょうか」
『冨岡さんだけだと大変ですもんね!!いってきまーす!』
ごめんね、自分。私には、恐怖(不死川さん)と戦う勇気はない。よろしくお願いしますね、と女神のような笑みを浮かべるしのぶさんを背に走った。
適当に走って、見つけられなかったことにしておこう。
(うん!大丈夫!そんな都合よく、炭治郎や冨岡さんと出会えるわけないし!!)
『なんだかんだ神様は私に優しいもんねー』
「おい!!そこの女退け!!」
『え?』
前言撤回。神様は優しいどころか、ドSなのかもしれない。だって前から、何故か伊之助が飛んできてるから。
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美穂(プロフ) - 凄く続きが気になります (2022年12月1日 22時) (レス) id: c0f42fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
白猫さん(プロフ) - 面白かったです!! (2021年10月10日 16時) (レス) @page32 id: d1d66ac9b7 (このIDを非表示/違反報告)
おもち - はじめまして!お話面白かったです!更新しないのですか?続きが気になります! (2020年9月8日 23時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
床に落ちてるゴミ - あれ?更新しないのですか?とても面白かったので続きが読みたいです! (2020年9月7日 18時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
日和 - 凄く面白かったです!ヽ(*´∀`)ノ続きが気になります!ゆっくりでいいので更新待ってます! (2020年9月4日 15時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこもち | 作成日時:2019年6月27日 23時