花弁がよんじゅういち ページ3
◆◇
冨岡さんとしのぶさんに置いていかれないよう、必死で走っていると那田蜘蛛山らしき山が見えてきた。
着いたことに喜んで、近づくと今すぐ回れ右して帰りたい衝動に襲われた。
(えぇ、何この禍々しい雰囲気!!)
何故か、不自然な霧が山を取り囲むようにかかっている。これだけでも入りたくないのに、山からは吐き気を覚える程の血の匂いがした。
ちなみに冨岡さんは既に、山の中に入っていったらしい。ーーえ、早くね?
「カナヲ、貴方は隠と共に山に入った隊員達を探しなさい」
「はい」
『ひっ!か、カナヲちゃん!?いつからいたの!?』
山の雰囲気にかなりビビっていると、隣からカナヲちゃんの声がした。カナヲちゃんは驚く私をちらりと見てから、山へと颯爽と入っていく。
「カナヲはさっきからずっと、私達から少し離れて着いてきていましたよ」
しのぶさんに苦笑いされるが全く気がつかなかった。ーーカナオちゃんの前世は忍者かな?
「では、私も行きますね。Aさんは1人で……」
しのぶさんの、言葉に勢いよく首を横に振る。
そんな私をしのぶさんはじっと見つめてから、
「大丈夫そうですね。では、気をつけてくださいね」
美しい笑顔を浮かべると、凄い速さで山に入っていった。
『嘘でしょ!?』
(なんで柱の人って、私を置いていくんだろう。私、何かした?)
このまま帰ってしまおうかと思ったが、そんなことをしたら今度こそ首と体がさよならするだろう。
山と来た道を交互に見る。空を見上げても、まだ夜が明ける気配はない。
『……っ、待ってください!!置いていかないで!!』
そんなの私に残された選択肢なんて、1つだ。震える足をどうにか動かして、山の中へと入る。
◇
『冨岡さんもしのぶさんもカナヲちゃんも、もっと私に優しくしてよ……』
山の中に入り、キョロキョロと辺りを見渡しながら3人を探すが見つかる気配はなく焦る。私は知っている。私が1人になると必ず、なにか起きるんだ。
善逸と別れた時も、杏寿郎さんに置いていかれた時も、鬼に出会った。だから物凄く今、嫌な予感しかしない。
『ねぇ、鳩?鬼の気配がしたら、真っ先に教えてね。逃げるから』
「鬼殺隊の恥さらしだなオマエ!!」
『そろそろ本気で炙るぞ、クソ鳩』
雑魚鬼ならまだいいよ?でもこの山にいるのは、下弦の鬼。炭治郎でさえ、あんなに大怪我していたのに私なんてきっと瞬殺だ。
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美穂(プロフ) - 凄く続きが気になります (2022年12月1日 22時) (レス) id: c0f42fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
白猫さん(プロフ) - 面白かったです!! (2021年10月10日 16時) (レス) @page32 id: d1d66ac9b7 (このIDを非表示/違反報告)
おもち - はじめまして!お話面白かったです!更新しないのですか?続きが気になります! (2020年9月8日 23時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
床に落ちてるゴミ - あれ?更新しないのですか?とても面白かったので続きが読みたいです! (2020年9月7日 18時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
日和 - 凄く面白かったです!ヽ(*´∀`)ノ続きが気になります!ゆっくりでいいので更新待ってます! (2020年9月4日 15時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこもち | 作成日時:2019年6月27日 23時