花弁がごじゅういち ページ16
◇◆
『あ、あのー……もう一度言っていただけると有難いんですが』
「何度だって言ってあげる。君と、そこの妹が欲しい」
聞き間違いだと思いたかった。自分の耳が可笑しくなったと思いたかったのに!!累くんは、さっきと変わらない声色で私を指さしている。
「……何を言っているのかわからない」
炭治郎の言葉に、隣で勢いよくうなづく。ーーほんと、まじで累くんどうした??私、人間よ?
「君の妹には僕の妹になってもらって、そこの女はそうだな……新しい姉さんになってもらおう。今日から」
『え、いやだから私、人間なんだけ……うぉっ!?』
喋ってる最中に、勢いよく炭治郎に腕を引かれた。驚いた私を他所に、炭治郎は右手で禰豆子ちゃんの肩を抱き左手で私を抱き寄せている。
「そんなことを承知するはずないだろう。禰豆子もAも物じゃない!!自分の想いや意思もあるんだ。そうだろう?A」
『え!?も、勿論!!』
いきなり聞かれて少し詰まってしまった。鬼になる気なんて、毛ほどもない。許されるなら、今すぐ刀も隊服も捨てて逃げたい。
私がうなづくのを見ると、腰にまわされた炭治郎の手に更に力が入る。
「禰豆子はお前の妹にはなりはしないし、Aは絶対に渡さない!!」
「大丈夫だよ。心配いらない”絆”を繋ぐから。そこの女には鬼になってもらうし、妹だって問題ない。逆らうとどうなるか、ちゃんと教える」
僕の方が強いんだから。とサラリと言ってのける累くんに体の底から震えた。ーー累くん本気じゃん!?
「ふさげるのも大概にしろ!!」
顔を見なくてもわかる、炭治郎が怒っている。こんな時に呑気だと思われるかもしれないが、それが少しだけ嬉しかった。
禰豆子ちゃんと私をしっかりと、抱きしめる炭治郎にさっきまで体の震えが自然とおさまる。
「恐怖でがんじがらめに縛りつけたり、無理やりなんて家族の”絆”とは言わない。Aを鬼になんてさせるものか!!」
『た、炭治郎』
「その根本的な心得違いを正さなければお前の欲しいものは手に入らないぞ!!」
炭治郎の言葉に、累くんが五月蝿そうに眉をひそめる。
「2人はお前なんかに渡さない」
「いいよ別に殺して奪るから」
「俺が先にお前の頸を斬る」
「出来るならやってごらん。十二鬼月である僕に、」
禰豆子ちゃんと私を庇うように前に立った炭治郎を見て累くん笑った。
「勝てるならね」
月明かりに照らされ、瞳の奥の”下伍”の文字が不気味に輝く。
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美穂(プロフ) - 凄く続きが気になります (2022年12月1日 22時) (レス) id: c0f42fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
白猫さん(プロフ) - 面白かったです!! (2021年10月10日 16時) (レス) @page32 id: d1d66ac9b7 (このIDを非表示/違反報告)
おもち - はじめまして!お話面白かったです!更新しないのですか?続きが気になります! (2020年9月8日 23時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
床に落ちてるゴミ - あれ?更新しないのですか?とても面白かったので続きが読みたいです! (2020年9月7日 18時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
日和 - 凄く面白かったです!ヽ(*´∀`)ノ続きが気になります!ゆっくりでいいので更新待ってます! (2020年9月4日 15時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこもち | 作成日時:2019年6月27日 23時