優しい水がひとつ ページ14
炭治郎side
目の前で、禰豆子の体が糸により刻まれ顔から血の気が引いた。急いで、禰豆子を抱きかかえAの手を引いて茂みに入った。
「禰豆子……禰豆子！兄ちゃんをかばって……ごめんな」
禰豆子を木へと寄りかからせる。酷い傷だ。いくら、治るといったって出血も酷い。禰豆子の無事を、確認しているとふと気づいた。
すぐ近くで、禰豆子以外の血の匂いがすることに。
『炭治郎〜、その子が妹？大丈夫？めちゃくちゃ出血してるけど』
「A、腕見せてみろ」
『え、』
Aに鬼の禰豆子を見られたことなんて、俺の頭には無かった。ただ、隠すように後ろにやっているAの左腕を掴んだ。
「っ!!これ、」
『いっ!!あー、ほら。流石に刀1つじゃ受けきれなくて、さ？』
Aの左腕は痛々しかった。血が尋常じゃないほど流れ、羽織も黒いはずの隊服を赤く染めている。その怪我に自分への怒りや他の感情が混ざってぐちゃぐちゃになった。
「なんで、俺を庇ったりなんかしたんだ!?下がっていてくれ、と言っただろう!!」
正直、自分の感情がこんなにも溢れてどうにも出来なかったのは初めてだった。Aの目が大きく開かれる。
普段から死にたくないと、怖いと、言うくせにこういう時ばかり彼女は容易くその体を盾にする。
(だから、俺が守ってやらなきゃって……いや、守りたいんだ)
Aの腕をぎゅっと握りながら、思わず下を向いてしまった。
『炭治郎が、私の話聞かないなら私だって炭治郎の言うこと聞かないよ？』
顔をあげた先で、Aがとても不服そうな顔をしていた。その言葉に、先程の会話を思い出す。
__『ねぇ、炭治郎。ほんとに危ない時は自分の命を最優先に考えてね』
そう言ったAはとても悲しい匂いをさせていた。
「俺は長男だからいいんだ!!これくらい、我慢でき」
『長男だから傷ついていいなんてあるわけない!!炭治郎が傷つくのが嫌だから、禰豆子ちゃんも私も庇ったの!!』
そう言った瞳は酷く揺れていた。恐怖と深い悲しみの匂いがする。ｰｰあぁ、こんな時に俺は!!
俺の為に必死になる姿も、俺を思って揺れるその瞳も、全て愛しいと思ってしまったんだ。
いやきっと、出会った時から俺はこの子を守りたいと愛しいと思っていた。
『炭治郎？』
「怒鳴ってすまない。でも、俺はAが傷つくのが嫌なんだ。だから、俺にAを守らせてくれ」
(好きな子も、大切な妹を、もう傷つけたくないから)
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美穂(プロフ) - 凄く続きが気になります (2022年12月1日 22時) (
レス) id: c0f42fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
白猫さん(プロフ) - 面白かったです！！ (2021年10月10日 16時) (レス) @page32 id: d1d66ac9b7 (このIDを非表示/違反報告)
おもち - はじめまして！お話面白かったです！更新しないのですか？続きが気になります！ (2020年9月8日 23時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
床に落ちてるゴミ - あれ？更新しないのですか？とても面白かったので続きが読みたいです！ (2020年9月7日 18時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
日和 - 凄く面白かったです！ヽ(*´∀｀)ノ続きが気になります！ゆっくりでいいので更新待ってます！ (2020年9月4日 15時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちょこもち | 作成日時：2019年6月27日 23時
