月下美人の君【蒙恬ルート.2】 (ページ28)

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妍姿艶質.6 ページ28

それが例え、私情のものであっても大王様から命令は絶対である。

顔つきがかわり、蒙恬の傍から勢いよく離れる。

馬に向かって歩きながら、着物の帯をきっちり締め
蔵にくくりつけていた甲冑を着れば、あっという間に女兵士の誕生である。

頭に手を当てて…

勢いよく下から上に振ると、輝く金髪の髪から

いつも通りの艶めく美しい黒髪が現れた。

雰囲気がガラっと変わった彼女に、
みな驚いて声がでない中、
蒙恬のみ悲鳴のような声を上げる。

蒙恬「せっかくの金髪の

Aがァーーーっ！！」泣

そんな婚約者を無視して、
地面に崩れ落ちる部下たちに向けて、
ピーっと笛を吹く。

A「撤収ーー！！

色気にかまけていた者は減点ねー！」

自分のことを棚にあげて、
部下たちには大王の元へ戻る様に指示を出す。

襲い掛かってきた村娘たちも、
Aと同じように身をひるがえして
走り出す姿に、河了貂や番陽が目を白黒させる。

嵐のように去っていく女たちに、
Aも後に続こうとしたが、

一度立ち止まって蒙恬の所まで戻ってきた。

A「……忘れものっ♡」

目を閉じて、ちゅ…と蒙恬に
可愛らしい甘い口づけを落としたA。

蒙恬「…(いつも周りに人がいると、
恥ずかしがる癖に///)」
不意打ちのキスに、今度は蒙恬がやられる。

どこまでも周りを置いていくこの夫婦だが、

その中でもAだけは、
楽しいそうに笑っていた。