月下美人の君【蒙恬ルート.2】 (ページ19)

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千変万化.5 ページ19

様々な思惑がぶつかる中、その日がやってくる。

蒙恬「よーーっす」

信「おおー！蒙恬！……と王賁」

王賁「………チッ」

三百人隊から始まった三人。

今ではその隊も、
数千という兵士をかかえるようになり、
それが三隊も一つに集まると、壮観な眺めである。

蒙恬「今日はなぜか、
大王様も見学に来るみたい。

気合い入れてかないとねー！」

信「マジでかッ？！…政が来るのか」ワクワク

王賁「蒙恬…。
お前が模擬戦如きで、熱くなるなんて珍しいな」

蒙恬「当然～♪

大王様が来るってことは、どこかで
Aも見てるはずだからね。

カッコイイ所見せないと！」

信・王賁「「Aがッ…？！」」

同じセリフが被った為、
お互いに嫌そうな顔をする二人。
それでも考えている事は同じである。

王賁「(Aが来るのか…)
模擬戦だからと言って、手加減はしない…」

信「しゃあーッ！気合い入れて行くぜ！
(Aに新生飛信隊の強さ、
見せてやんないとなッ！)」

蒙恬と婚約したからと言っても、
未だにこの三人の中でAの名前を出すと
皆熱く燃え上がる。

苦笑いしながらも、蒙恬も負けてられない…と
本気の目つきをした。

こうして、三隊の軍事演習が始まった。

⭐⭐

軍事演習の様子を、
高見から見物していた政と側近達。

部外者は決して立ち寄れないその場所に、
見知らぬ人物が現れる。
つかさず、守りを固めていた昌文君が剣を抜いた。

昌文君「貴様ッ何者だっ！

…いつの間にここに」

政「…ッ！！」

気配なく現れたそこには、

キラキラと弾け飛ぶ金色の長い髪を、
真珠のような簪で彩っている美女がいた。

光に反射して輝く髪色が、真っ白な肌に映えて
まるで妖精のような、神秘的な存在感を漂わせた。

だか、汚れない純真なようなその顔とは別に、
シンプルな着物だか
胸元が大きく開いた服装からは、
男を誘う妖しい色香が溢れ出していた。

A「…お待たせしました。Aです。」

そう言って跪く。
皆、一瞬何を言ってのか理解出来なかった。

なぜなら、美女は美女でも
Aは黒髪なのに、目の前の女は金髪。

また、化粧をしているせいか…その朱い唇が
また彼女を艶めく魅せた。

昌文君「…お前、本当にAなのか？」

雰囲気が全く別人であるAに戸惑う。