月下美人の君【蒙恬ルート.2】 (ページ15)

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千変万化ページ15

その出来事の全ての発端は、宴で聞いた陸仙の言葉が始まりだった。

その日の戦は楽華隊の活躍で、また武名が秦国中に広がった。城に戻った皆は、その喜びに酒が進み、Aはその配膳や酒を注いで、兵士達に労いの言葉をかけていた。

一度「Aはそんな事までしなくていいんだよ」と蒙恬に言われたけど、「自分がしたいんだ」と譲らなかった。

大切な恬が今日も無事で居られるのは、
彼らのおかげでもあるから…。

戦に出れない自分が出来ることと言えば、
どうしても限られてしまう。
だから、感謝と労いの言葉をかけたいんだ…と
Aは言った。

一人、一人顔を見ながらお酒を注いでいく。

皆、Aの存在を知ってる分…
遠慮しながらも、「ありがたや！ありがたや！」と涙を流し喜んだ。

その様子を嬉しそうに見守る蒙恬。

隣の陸仙は相変わらず、余計な事を言う。

陸仙「本当…A様は
蒙恬様にはもったいない嫁ですね…」

蒙恬「うるさいよ、陸仙」

彼女本人はこんな事しか出来ない…と言うけれど、
Aの存在がより楽華隊の士気を高め、団結を強めているのは事実だった。

自慢の彼女を遠目から眺めるだけでも、いい。

戦から帰って来るたびに、
美しくなっていくAから目が離せない。

気が利いて、誰にでも優しくて、美しい妻…。

蒙恬「あぁ…俺って幸せ者～」

胡漸「蒙恬様、盃が空いておりますよ。
お注ぎ致します…」

蒙恬「じィ、ありがとう…。」

幸せな感覚に浸り、酒が進んだ楽華隊だった。

⭐⭐

A「……ふぅ～」

額の汗をぬぐいながら、息を吐くA。
負傷者も多いが、死亡者が少ないことに安心した。

宴から数刻たち、隊のみんなも出来上がってきた頃、飲み終わった酒を片付けていると、珍しく酔っ払った陸仙の声が聞こえた。

陸仙「だからァ～～。

A様とくっついたのは奇跡なんだって～。

蒙恬様なんて昔ヤンチャしてたけど、
ほっっっと小さい頃は、

色っぽい女家庭教師に、
良いように弄ばれてたんスよ～～！爆笑

『あれ(法学書)全部理解したら、
先生を好きにしていいってことですよね？』とか

キメ顔で言ったのに、逃げられて三日間も
石になったことがあって～……」

A「へーーーーーーっ。

それで、それで～？」

陸仙「そう、
それで…ッッッて、A様ァッッ！！」硬直

今度は陸仙が、石になる番だった。