裏マネの業務。2 **

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あの女の人は香水をつけ過ぎだったのか、甘ったるい匂いが赤葦からもした。



それだけで、泣きそうだった。










「A？」


「…この泥棒野郎」


「眼鏡押し付けるからだろ」


「マスクも返せ。マスクにフレームはない」


「返さない」









私の眼鏡とマスクは赤葦に奪われて、



このなっさけない顔は見られる羽目になる











「……赤葦から、匂いするんだけど」


「匂い？」


「……何、してたの？」


「………」


「昼休み、あの女の人と何してたの。」












私を追い出してまで。



香水の匂いまでさせて。












「……Aが思ってる様な事はしてないよ」


「じゃあ何で匂いするんですか」


「あの人が勝手に寄ってきたんだよ」





「有罪。」


「おい。」















よくある浮気言い訳ワードだよそれ。



……そもそも付き合って無いわ、私たち。



付き合ってない、けど。
















「私のこと好きって言ったくせに…」



「…A、？」



「不審者な私よりあの人が良いのかバカ！！」



「待って、」



「赤葦は、私を好きなんでしょ…っう''！？」







・









ぺちん、と私の両頬を挟み込む赤葦。



その目は見開いていて私を凝視する。



それから赤葦も赤い顔でコツッ、と額を重ねる
















「それ、やきもち？」



「…さぁね」



「…ずるいんだけど、その反応。」













目の淵に涙が溜まる私を指で払う赤葦。











「態度で示してくれても、俺は言って欲しいんだけど」



「……鬼畜。」



「言葉にはしないで思わせぶりなAが鬼畜だろ」











その言い方だと私の悪女感すごいな。












「……俺はAが好きだし、あの人とは何もない。今更A以外好きになれないよ」



「私にベタ惚れか。」



「そうだよ、今更か。Aは？」






「……。」


「言えたらコレ、返そうか」












赤葦の手には私の眼鏡たち。


おいコラ、本当に鬼か…！


口を噤んで赤葦の肩に顔を埋めて葛藤。













「〜〜〜〜っ！！！」



「…A、お願いだから言ってよ。」



「……、」



「俺、もう待てない」













耳まで真っ赤な赤葦の瞳は


懇願するような目で逃げられない












「…………もうね、」


「うん？」


「泣けてくるくらい、赤葦が大好きだよ、私」

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