裏マネの業務。 **

05.「やめない」 ページ5

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「…わかったから、一旦離して」



「絶対わかってないだろ」













グググ…！と、外に出ようとする私を引き止めてくる赤葦。




今日は本当に何なんだ。

















「藤田と違って罰ゲームとかじゃないから。」




「いや…それは知ってるけど本当に用があるから」



「……で？」









「離せ。」



「ごめん無理。」
















じゃあ何で言わせた……。私の不服極まりない視線を受けても平然とする赤葦。







このままなら埒があかないのが分かったから仕方なく片手でネクタイを引っ張り、赤葦を屈ませる。

















「…顔もロクに知らない私によく言うね」




「顔なんて関係ないよ、俺は」




「いつも白福さん達見てるでしょ」




「Aを見てたって気付いてる癖によく言うな」

















女の勘、というか梟谷マネちゃんズの勘はかなり的を射ていたらしい。





それでも私はこの男と恋愛する気は無いけども。















「私は赤葦の事、別に好きじゃない。」




「知ってる。」




「…………他の子を好きになりなよ」

















ネクタイを引っ張られたままの赤葦の目が、一瞬驚いたように少し見開いたけど、それはすぐに戻る。















「誰を好きになるかは俺が決めるよ。その上で俺はAがいいんだけど」





「…だから、私はやめた方が良いってば。」















そういえば、入部してからこの姿だけど卒業した先輩達ですら私に警戒してたのに赤葦は一度も動じなかったな、なんて、





今思い出しても仕方ないんだけど。
















「こんな格好だから私は、」




「寧ろその格好だから興味がそそるな」




「……え、」














ハァ…、と溜息を飲み込んでこつん、と赤葦の額に自分の額を重ねる。















「…私を好きなの、今すぐやめろ。」













言いたいのはそれだけだから、と言い残して赤葦のネクタイを離し、












「…じゃ、また部活で」











赤葦を置いて体育倉庫を出た。




彼の微笑みなんて知らないで。

















「…そんな事言われて、やめる訳ないだろ。」







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