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25話【ジョセフ】 ページ26

*




明るい朝日と床に転がるゾンビの死体、そしてむせ返るほどに濃い本の独特の匂い。


「レイシー、これ重くて運べないよぉ!」


そういう甲高い声が図書館内に響く。
レイシーの目線の先にはゾンビの死体が転がっている。

皮膚は腐り、出た血は凝固している。
その様子が不気味さを増す。
レイシーの元にジョセフが寄って言った。


「僕が運びます、こういう力仕事は野郎に任せておけばいいんですよ」

「ほんとー!? ジョセフくん優しぃーっ!」


ジョセフの胡散臭い笑顔に、大袈裟にそう言うレイシーの声。
どちらもどこか上辺だけで、腹の中が分からない。

カツカツ、と足を鳴らしてジョセフの元にやってくるレイチェル。
話すためか、口元を覆うのを辞める。


「何か?」

「いいえ、神父様って意外と乱暴なのね」

「……悪魔(ゾンビ)に救いはありませんからね、せめてこの身体だけでも清めてあげたいものです」

「その水で?」


レイチェルが指さす先には水の入った小瓶が、机の上にちょこんと置かれている。
ジョセフはレイチェルのその言葉にニコりと笑って返した。

図書館の外にゾンビを放り投げ続けること約10分。
アーサーやエドワード等も手伝ったこともあり、すんなりとゾンビを片付け終わる。

扉の外に山積みになったゾンビの死体。
ジョセフは水の入った小瓶の蓋をあけ、その水をゾンビにふりかけた。

そして、ゾンビの山の前に跪き十字架を握りながら静かに目を閉じた。


「__父と子と精霊のみなによって、アーメン」


そう言いきって、そっと目を開く。
死体特有のつんざく匂いが嫌になり、ジョセフはさっさと図書館内に戻る。

先程よりもずっと綺麗になった図書館に、美味しそうな料理に匂いが充満している。

(雲泥の差……)

ジョセフは鼻を押さえ、ごほんと咳払いをした。

26話【エリィ】→←24話【レイチェル】



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黒-kuro-(プロフ) - 更新しました。何か不備があれば訂正して頂いて構いません、 (2020年11月21日 1時) (レス) id: 134062637c (このIDを非表示/違反報告)
黒-kuro-(プロフ) - お久しぶりです、紫龍です。名前変えましたー!更新します。 (2020年11月21日 1時) (レス) id: 134062637c (このIDを非表示/違反報告)
こきあ(プロフ) - 更新しました。 (2020年9月21日 15時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
こきあ(プロフ) - 凄く久しぶりです、更新できなくてすみませんでした、更新します。 (2020年9月21日 14時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
音夢(プロフ) - 更新しました (2020年7月12日 1時) (レス) id: f715c7a979 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:レイスの使者 x他10人 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2020年6月3日 17時

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