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更にAは、秀才であった。それは文字通り努力を尽くして手に入れた才であり、Aは両親に認められるべく必死に勉学に励んでいたのだ。それを才能があるからだ、と言うのはお門違いだ。何も知らないくせに、知った気になって人を評価しないで欲しいとAは思う。
性格の歪みと相まって、人から妬まれやすい能力値のあるAは、それこそ男の子にはよく好かれたが、女の子の友達はこれまで出来たことがなかった。

それを気にしたことはない。それを苦に思ったこともない。けれど、Aも一介の女子高校生だ。人前では凛とした態度で構えているが、一人になった途端底知れぬ虚無感に襲われて今にも泣き出してしまいそうになる。
それこそ、嫌われていることを自覚する度にAはショックを受けていた。そして、誰もいない屋上まで駆け抜けて、ひっそりと泣くのだ。

「A、大丈夫か」
「げ」
「げってなんだよ、げって!」

放課後になると人気のなくなるはずの屋上に先客がいて、Aはあからさまに渋面を作った。目の前で笑いながらもAの心配を唯一してくれるのは、長年の幼馴染である御影玲王だった。
開口一番に優しい言葉をかけられたので、Aは一層ムッとして玲王を見上げる。その様子から察するに、先程の一連の騒ぎは見られていたのだろう。

「もー見てたなら、助けに来てくれてもいいじゃん」
「んなこと言って、お前が嫌がるだろ?後からもっと面倒くさいことになるからやめて、って、前にも言ってたし」
「……ほんと、よく覚えていらっしゃること」

冗談混じりで言ったことに対して、玲王は真剣な顔でAを見つめていた。そして、さりげなく彼の着ていたブレザーを、Aの濡れた制服の上からかけてくれる。以前、同じようなことが起こった時にも、玲王は真っ先にそうしてくれた。

あの時は、偶然その場に居合わせた玲王が仲介に入ったことで収拾がついたのをよく覚えている。それも玲王は、らしくもなくAを一方的に庇うような言い回しで雄弁に語り、相手の女の子に何も言わせず俯かせてしまった。

・→←1.愛執と嫉妬



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設定タグ:ブルーロック , 御影玲王 , ヤンデレ   
作品ジャンル:アニメ
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黄泉(プロフ) - 七星さん» はじめまして、コメントありがとうございます!またこのお話をお読みくださり、面白いとのお言葉までありがとうございました!🥳 わっかります、むしろ、彼にならどんな手を使っても奪われたいくらいですよね笑 どこかでご縁がありましたら、またお願いします! (2023年2月7日 23時) (レス) id: ead223a600 (このIDを非表示/違反報告)
七星 - とっても面白くて、一気に読んじゃいました.ᐟどんな手を使ってでも玲王くんなら許しちゃうかもです(笑) (2023年2月7日 22時) (レス) @page34 id: 0897eb2537 (このIDを非表示/違反報告)
黄泉(プロフ) - 真昼さん» はじめまして、コメントありがとうございます🙇‍♀️続きが楽しみだと言って頂けてとても嬉しいです!あと少しで完結になると思いますので、どうぞもうしばらくお付き合いの程よろしくお願いしますm(__)m (2023年2月4日 11時) (レス) id: fe076a4b2d (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - 続きが楽しみです! (2023年2月4日 10時) (レス) @page19 id: 94c427d0c3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黄泉 | 作成日時:2023年1月28日 10時

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