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私は数分間迷いつつ「久しぶり、Aです」という淡白なメッセージだけ送ることにした。友人はというと、私にメッセージを送らせておいて、BLTVとやらに夢中であった。そもそもリアルタイム映像ならすぐに返信は来ないか、と私はメッセージを閉じて再びパソコンと向き合う。
そこで、ふと昨日のことを思い出した私は、画面に夢中になっている友達に「ねえ、そーいえばさ」と話を振った。
「ん?」
「もし、外国人に日本を案内するならどこにする?」
「は?え、なに急に、ガイドさんにでもなるつもり?」
「いや、違うけど、気になって」
案の定訝しまれたが、ミヒャエルと約束をしてしまった以上、リサーチはしておかなくてはならない。
以前付き合っていた彼氏ともデートは何度もしたが、プランは彼に任せきりだったのでどうにも慣れていないのだ。
「えー、私なら、キャンプに行くか、温泉とか?外国人って、そーゆーの好きそうじゃない?」
「うーん、たしかに」
外国人が好きそう、という友人の言葉には妙に納得出来るのだが、ミヒャエルが好きそうか……と言われたら中々想像が出来なくてつい吹き出してしまいそうになった。
「えー、なに?もしかして、新しい外国人彼氏が出来たとか?」
「そんなワケないでしょ?私この前失恋したばっかりだし」
「出来たらすぐに教えなさいよ!」
「はいはい」
ミヒャエルは決して彼氏ではないので、私は嘘は吐いていない。
だが、こんな話を友人にひた隠しにするのも何だか悪いことをしているようで、背徳感が押し寄せてくる。
まさか、得体の知れない美青年外国人と身体の関係を持った、だなんて言った方が大問題なので、大学の友達には絶対に言うことはないだろうな、と思いながら依然として進むことのないレポートと向き合うことにした。
*
ミヒャエルと会えることになったのは、あれから一ヶ月が経つ頃だった。もう私のことなど忘れて新しい女にでも乗り換えたのではないか、母国に帰ったのではないか、という不安と失望と諦めと期待の毎日に、ついに感情が混沌を極めていた頃、ようやく一通のメッセージが入った。
講義中であるのにも関わらず目の色を変えてスマホに飛び付くと、隣に座っていた友人に「スキピでもできた?」と笑われて、渦巻いていた感情の波がぴたりと音を立て、小波へと変化した。
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玉子ぷりん - 見てて「こういうのもいいな」と新しい扉がひらいた気がします!(?)完結おつかれさまです!これからもおうえんしてます! (4月3日 22時) (レス) @page23 id: 07e67c9327 (このIDを非表示/違反報告)
黄泉(プロフ) - ひてゃんさん» はじめまして、コメントありがとうございます!また、このお話を最後までお読みくださりありがとうございました!ひてゃんさんに、そのように言って頂けてとても嬉しいです🍀またご縁がありましたら、その時はよろしくお願いします🙇♂️ (2023年3月5日 0時) (レス) id: ead223a600 (このIDを非表示/違反報告)
ひてゃん(プロフ) - とてもおもしろかったです!!完結お疲れ様でした👏🏻❤️🔥 (2023年3月4日 12時) (レス) @page23 id: beb1a37d1b (このIDを非表示/違反報告)
黄泉(プロフ) - 悠さん» 悠さん、改めまして最後までお読みくださりありがとうございました!また、再びコメント頂けて嬉しいです🥰彼に人生狂わされたくて思いついた話なので、そのお言葉とっても胸に響きます😊今後ともご縁がありましたらよろしくお願いします🙏 (2023年3月4日 7時) (レス) id: ead223a600 (このIDを非表示/違反報告)
悠 - 自分はウェブで見てるのでフォローとかができないんですけどツイッターも見てます! 改めてお疲れ様でした! (2023年3月3日 23時) (レス) @page23 id: 1f3484379a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黄泉 | 作成日時:2023年2月11日 16時