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「まず、疑問に思った処から…。」
写真を左手で掬い、右手を口許に当て「むむ」と唸る。女性の捜査官は不思議そうにAを眺めていた。
Aは左手の写真を捜査官の目の前につき出して、其処に写るものを指した。「此、ですかね。」
「段ボール…ですか?でも如何して段ボール?」
捜査官の言葉を聞いて、Aはにっこりと笑った。その場を愉しむかのように。
Aは、先ず倉庫内の天井に目を遣り、床に並べられた番号を見て、出入口を塞いでいる黄色の«立入禁止»と示されたテープを見て、自身の掌を見て、何やら確信付いたのかくすりと鼻で笑ってみせた。
自身の頭の中を整理する。
そして口を開く。
「この段ボール、如何して此処にあるのかが判らなくてですね。」
「と云いますと…?」
「この段ボールの色には見覚えがありましてね。」鞄から飴の包み紙を出して、中の飴玉を口に放り込む。透き通るような白だ。「何処でとは云いませんが。……特有の色。施設を思い出します。」
捜査官の瞳孔が微かに揺れた。手の甲を見えないようにつねった。
Aはそれを見逃さなかった。
「この槍も、槍に刺されてる人も。」写真の中の男と槍を睨む。「ふむ…異能力ですね。」
「異……なんですかそれ」
Aは捜査官に耳を貸さず、喋り続ける。「異能力で具現化させた槍を刺したのでしょうね。男を殺さずに。そして恐らくですが…、刺された男の方も異能力者でしょう。」
捜査官は女を眺めていた。
写真を見る姿、髪を触る処、そして“紅玉色の瞳を”。
不思議と、口角が上がった。
「……捜査官さん。貴方は先程押収品を全て私に見せましたか?」
「?…えぇ」
「嘘は仰らないで下さいな」Aの瞳が光る。捜査官は小さく悲鳴をあげた。「此でも私は穏便に話を進めている心算です。槍を見せて下さい。そして“刺された男”も。」
生きてるんですよね?__Aには筒抜けだった。
Aの言葉に捜査官は狼狽える。
「ま、待ってください!男が生きてる何て、そんなことあるわけないでしょう!本人をこの目で見たとき、出血量は致死量を超えていました!鑑識だってそう__」
「なら“鑑識さんを”連れてきてください」
「__え?」
「直接本人に聞けば真偽が判ります。__あ、それとももう“殺してしまったんですか”?」
「ッ!?__…」
決まりだね__ぽん、と捜査官の肩を叩いた。

捜査官は余裕そうな笑みを浮かべていた。



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玖→←漆


ラッキーカラー

あずきいろ


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作者名:Utsuro x他1人 | 作成日時:2017年8月29日 17時

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