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『怖かった…』
僕に聞こえるか聞こえないかくらいの声でそう呟いたAさんは、小さくて、弱くて
「大丈夫ですか?」
『はい、ありがとうございます』
大丈夫だって、心配を掛けないように笑って言うAさんだけど、街灯に照らされた腕は少し赤くなっている
「手……」
『あ、これは、』
「湿布買いに行きましょ」
『いや、一緒に行くと、』
……あ、そうだ。
この人はこういう人だった
「でも、」
『ほんとに、大丈夫です』
「……じゃあ、家に返ったら絶対冷やしてくださいね」
『はい 笑』
「え、なんで笑ってるんですか!」
『意外と、過保護ですか??』
過保護だとかそんなんじゃなくて、相手がAさんだから心配なんだって言ってしまいそうになったけど、止めた
チャラいとか軽いとか遊んでるとか、そういうイメージを持たれることも少なくない
Aさんが、今、僕のことをどう思っているかなんて分からないし、聞くことも出来ないけど、そういう風に思われたくないんだ
……Aさんだけには。
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作者名:檸檬 | 作成日時:2022年7月17日 23時