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『行ってきます!』
少し雪が積もっている道路に、元気よく飛び出した
今まで培ってきたものを全て出しきれるかという不安と、
やっと今日で終わる!という嬉しさ
その両方を胸に秘めて、試験会場へと向かった
電車に揺られながら、
単語の最終チェックをして
試験会場に着くと、そこにはもう既に、沢山の人がいた
問題用紙配布の5分前を知らせるチャイムが会場中に鳴り響く
ふと隣の席を見てみると、
…まだ来ていない
遅刻しちゃうんじゃない?
と、少し心配してその空いている席を見つめていたその時、
ガラガラッと教室の前のドアが勢いよく開いた
「遅刻ギリギリだぞ、早く席につけ」
試験監督の先生は、怒っている素振りを見せた
当の本人は、少しヘラヘラしている
隣の席だから、嫌でも目に入るその表情が、急に変わった
何かあったのかな、?
こういうのは、昔から放っておけないタイプだ
慌てているその子を見て、試験監督の先生は、
「何をしている、静かにしなさい」
と、また怒る
その子の手にあったのは、シャーペン2本と、シャーペンの芯のケースだけだった
あぁ、そういうことか
私は椅子の下のリュックにそっと手を伸ばし、筆箱から消しゴムを取り出して、
そっと隣の机の上に置いた
驚いたような顔を見せてから、両手を顔の前で合わせて、
そして、ニカッと笑う
その顔が、脳裏に張り付いた
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作者名:檸檬 | 作成日時:2020年4月7日 23時