七海の努力 ページ30
彼に会うのは約1年振りだろうか。
別に彼の事は嫌いではない。脱サラした事に関しても「ああ、すごいなぁあ」程度だった。
飲み仲間が居なくなるのは寂しかったが、彼の道を妨げようとも思わなかった。
最後にこのオフィスを出ていった彼の表情は何処かスッキリしていて、決意を固めた様だった。
「今迄お世話になりました」
私に個人でそう言いに来た時は、本当に彼が居なくなる事に実感がなかったのだろう。
だから彼のその後の言葉も意味を理解出来ていなかった。
「絶対に来ちゃいけませんよ」
私が頭上にハテナを作るも「重く考えないでいいです」と言い残し、行ってしまった。
そんな昔の事を思い出しながら、眼前の2人をぼーっと見詰める。
「どうして私なのかは分かりましたが、何故彼女と関わったんですか」
「ほら、昔噂であったでしょ?「500年に1度の異」の話!!アレの正体彼女の腕にいる百々目鬼だったから」
「……貴方の話のぶっ飛び具合には呆れます」
「え?そーんな事言わないでよ〜。でも七海も薄々気づいてたんでしょ?彼女の右腕に何かが居るって」
「……少々は」
「でしょ?だからある程度省いても大丈夫かなって!!」
気付けばほぼほぼ五条君が説明してくれた様だった。彼の瞳は私を捕え、私に1歩近づく。
「……包帯は役に立ちましたか?」
「勿論。私は分からないけど呪力を抑えこんでたみたい」
「そのおかげで、僕も初めは全然分かんなかったんだよね〜」
ヘラヘラとしている彼は放っておく。
七海君は俯き、動かない。
「……七海君?」
「…貴方は此方の世界に畏怖の感情を持っていた筈だ。なのに、何で自分でもう一度足を踏み入れたんですか」
だから私も正体を明かさず、呪力封じの包帯を渡して貴方の側を離れたのに。
その言葉と、彼のやるせない表情を見て、申し訳なく感じる。
私は知らなかったけど彼は私の気持ちを汲み取って色々してくれてたんだな。
「ありがとう。それとごめんね」
君の努力無駄にしちゃった。
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数学(プロフ) - 麗さん» ご指摘ありがとうございます!!すぐに直させて頂きますm(*_ _)m (2021年3月1日 8時) (レス) id: 854f7b158c (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 26ペン 七海健人 ではなく 七海建人 です。 (2021年3月1日 8時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
数学(プロフ) - shinox2さん» 全然大丈夫ですよ〜!!また読めない漢字等ありましたら何時でも質問して下さいね!! (2021年2月28日 16時) (レス) id: 854f7b158c (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - ありがとうございます。ちゃんと妖怪として存在したんですね。てっきりオリジナルかと思ってました。ググればよかったですね(^^; (2021年2月28日 14時) (レス) id: 947326f28f (このIDを非表示/違反報告)
数学(プロフ) - shinox2さん» わわ!!読んで頂きありがとうございます!!コレは百々目鬼(どどめき)と読みます!!目がめっちゃついてる妖怪ですね!!ちゃんと読み仮名を付けていなくてすみません(汗) (2021年2月24日 22時) (レス) id: 854f7b158c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:数学 | 作成日時:2020年12月26日 22時