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忠義にそのことを伝えたのは、
別れた日から3日後だった。
いつも通りの焼き鳥屋で、いつも通りお酒を飲み交わしながら、私から伝えたのだ。
忠義はきっと気づいていたけれど
何も訊かないでいてくれた。
三杯目のハイボールで乾杯をして一口飲んだ後、
「別れたの。章大さんと、ちゃんと」
何気ないふりを装ってそう言ったら
忠義は大して驚く様子もなく「ふうん」って相槌を打った。
「なにそれ。
そんなに興味なかった?」
あまりにも素っ気ない返事にじとっと忠義を睨むと
ぼんやりしていた忠義が我を取り戻したみたいに慌てて言葉を紡ぐ。
「いや、興味あるよ。
ちゃんと言えたんやな、A」
えらいえらい、って子供にするみたいに
大きな手で私の頭をよしよし撫でる。
忠義にそうされるのは気持ちよくて好きなんだけれど
今欲しいのはそういう反応ではなくて。
「きいてよ。忠義にしか言えないの」
忠義は私のおねだりに意外と弱いと気付いたのはいつだっただろうか。
お願い、って素直に付け足したら
ふう、と短く息を吐いて
「仰せのままになんでもドウゾ。お姫様」
頬杖をついてやっと聞く姿勢を見せてくれた。
忠義の目は色素が薄くて綺麗だなあ、なんて思っても
もうあの人の深い海のような真っ黒な瞳は思い出さないから
私は自分が思っているよりも、あの人をちゃんと思い出にできているのだと思う。
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茜音(プロフ) - クラゲさん» ここが切なさのピークですね、、、そう言っていただけて嬉しいです(笑)!ここからは徐々に息ができるようになっていくはずなので(笑)、あと少しどうかお付き合いください! (2018年11月3日 18時) (レス) id: c4843d23a9 (このIDを非表示/違反報告)
茜音(プロフ) - M Mさん» コメントも評価もありがとうございます!一人ひとりの評価は確認できないのでどうなっているかわたしにも分からないのですが、高評価しようと思ってくださっただけで嬉しいです!パート6にも是非遊びにきてくださいね! (2018年11月3日 18時) (レス) id: c4843d23a9 (このIDを非表示/違反報告)
茜音(プロフ) - 蒼乃碧さん» コメントありがとうございます!人を好きになるのもそうじゃなくなるのも複雑で、意外と簡単だなーと思うのでそれを意識しながら書いています。描写しつこくないかな?と思いながら書いているのでそう言っていただけて嬉しいです。あと少しお付き合いくださいね(^^) (2018年11月3日 18時) (レス) id: c4843d23a9 (このIDを非表示/違反報告)
茜音(プロフ) - 516516516tさん» 大倉くんほんっとうにここまでよく頑張ってくれました、、(;_;)泣くほど感情移入してくださって嬉しいです(;_;)ヒロインのために帰ったというよりはヒロインの答えを聞くのが怖くてその場から去ったという方が正しいかもです。あと少しお付き合いくださいね! (2018年11月3日 18時) (レス) id: c4843d23a9 (このIDを非表示/違反報告)
クラゲ(プロフ) - ただただ切ないですね、、、本当に読んでいるこっちが息もできないです、なんちゃって(笑)どういうエンディングになるのかとても楽しみです更新頑張ってください応援しています。 (2018年10月31日 20時) (レス) id: 391c1a10c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茜音 | 作成日時:2018年10月1日 0時