一頁〜運命の確定1〜 ページ4
その日の前日。俺たちの住むこの地区では、全ての中学生宛(あ)てに『とある検査結果』が届けられていた。
俺がこの結果を手にするのは今回が始めて。同級生の多くは俺同様、それを始めて目にしたことだろう。
朝からずっと、学校では検査結果にまつわる話題ばかりが耳に入ってくる。
「なあ、A。お前、βってマジ!?」
「……お前、耳早いな。どこて聞いてきたんだよ、それ」
昼休み、弾丸(だんがん)のごとく教室に突っ込んできたのは幼馴染みの【間中平助(まなか へいすけ)】。
弁当箱を広げてるのにもかかわらず、遠慮(えんりょ)なく机に両手を叩きつけ、机を揺(ゆ)らしやかった。
危ないだろ、この野郎。
危(あや)うく俺の昼飯が台無しになるとこだったじゃないか。
「やっぱマジなのかー! Aは絶対αだと思ったんだけどなあ」
「おい、人の話を聞け。ちゃんと会話しろ!」
この通り平助は落ち着きがなく、やかましい奴(やつ)だ。
しかし、持ち前の明るさと分け隔(へだ)てなく接する人の良さから、いつも周りには人がいた。
正直そんな平助のことを羨(うらや)ましいとさえ思っていた。
「どこもなにも、みんな言ってるぜ?」
「俺、一言だってβを自称(じしょう)してないんだけど。こわっ」
「え? やっぱりα!」
「何で平助が嬉(うれ)しそうなんだよ。……それに、残念ながら俺はαじゃないよ」
そう。
『とある検査結果』とは、第二の性別。
つまりほとんどの同級生は昨日、始めて自分の第二の性別を知ったこととなる。
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作者名:フロース | 作成日時:2019年3月4日 19時