十二頁〜これは果たして恋なのか5〜 ページ17
「なあ、平助。お前さっきっから何なの?」
こうも真意の見えない質問を繰り返されればさすがに気味が悪い。
それに加え、先ほど南条との会話で培(つちか)われてきた苛(いら)立ちが何やらふつふつと復活しつつある。
「いや、その……。あー、お前と南条って中学入学前からの知り合いだったりする?」
「は? あんなやつ知らなかったけど」
今、苛(いら)立ちが大きく上回った。
「お、おう。随分(ずいぶん)ストレス溜(た)まってんな」
一部は平助のせいだけど!
しかし自分が思っていたよりもずっと低い声が出てしまったのは、やはり南条のせいであるのは間違いない。
「えっとな。南条の場合Aに対して、あいつスゲー、かっけー!って感情。強いていうなら尊敬ってなら分かるんだよ。
でも南条が憧(あこが)れるのって漢(おとこ)の中の漢(おとこ)ってタイプっほいよな」
ここまでは分かるか? と聞きたげに彼はこちらを見るので、俺は黙(だま)って頷(うなづ)いた。
「憧(あこが)れってのは成りたい自分でもあると思うんだ。
となると、やっぱりAに憧(あこが)れるってのは違和感がある」
それはつまり、俺は南条に憧(あこが)れるに値しないと言うことか。
俺は男らしくないということなのか。
もしかして平均より低い身長とか筋肉のつきにくい身体について軽くディスってないか?
とか思ったがまあ、今はスルーしておこう。
今そこを指摘したら脱線しそうな気がする。
さすが俺。大人だ。
「でも、Aの行動を見て何処(どこ)かで憧(あこが)れる要素があったかもしれないよな。
クラス違うしすべて把握(はあく)してる訳じゃない、から……」
なんだか平助の顔がひきつっている気がするが、うん。気のせい気のせい。
俺はちっとも怒ってないから。さあ、続きを話したまえ。
にこにこ笑ってると何かに観念した顔つきで、平助は続きを話し出す。
「だ、だから憧(あこが)れてるってのは違和感を感じはしたけど分からなくもない」
うん、まあそれでいい。
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作者名:フロース | 作成日時:2019年3月4日 19時