【オリジナル】それは、ささやかなる願い。【BL】 (ページ2)

今日:6 hit、昨日:13 hit、合計:85,325 hit

～はじめに２～ページ2

俺たちが生きるこの世界には【第二の性別】と呼ばれるものがあった。

これは男女という性別とはまた別に分けられた、“α、β、Ω”という3つの性別のことである。

3つの性別を簡単に説明するとまず、生まれつきのエリート体質と言われているのが【α】であった。

αは全体的な人口が少ない。
また、身体能力や知能が高く、リーダー的存在。『政治家や社長はαだと思って間違いない』と言われる由縁(ゆえん)はここにある。

その他、α女性は他の女性やΩ男性を妊娠させることが可能、といった特徴をもつ。

続いて【β】。
彼らは最も人口が多い。
これといった特徴もなく、一般的な人間とされている。

稀(まれ)にαと同等に渡り合い、のし上がっていく者もいるが、そういった例はあまり見かけない。

最後に【Ω】。
彼らはαよりもさらに数が少ない。
そんなΩは社会的に“冷遇(れいぐう)”されており、社会的地位、職業的地位に就(つ)くのは非常に難しい。

Ωには“３ヶ月”に一度の頻度(ひんど)で約“一週間”、【ヒート】と呼ばれる【発情期】が“十代後半”より訪(おとず)れる。

Ωの社会的地位が低いのは、このヒートが“原因”であった。
というのも、発情期中のΩは約一週間、発情と繁殖(はんしょく)以外何もできなくなるからだ(Ω男性はこの発情期に限り、妊娠することが可能となる)。

さらには本人の意思なと関係なしに強い【フェロモン】を発し、αに強烈な“発情状態”を引き起こさせてしまう。

こういった特性により、発情期中のΩは労働力として、まともに使えなくなる他、周囲とのトラブルも起こしかねないため“蔑(さげす)まれて”きた。

医学の発展した現代社会では【抑制剤(よくせいざい)】なるものが存在し、Ωのヒートを抑え込むことが可能となった。
しかし抑制剤には保険が適用されないため、かなり“高額”となっている。

一錠(じょう)や二錠(じょう)手にいれることは容易(たやす)いが、常に――それこそ≪βと偽(いつわ)り続けることが可能≫なほど薬に頼れるのは、裕福な家庭でなければ難しいであろう。