君を探して side DH ページ5
Aがいなくなって、もう4ヶ月。
Aからの連絡はもちろんない。よく行ってたコーヒーショップやスーパーに通ったりした。でもやっぱりAは見つからなかった。手掛かりなんて何にもなかった。
今日も首にかかるネックレスを外せずにいて、まだAの温もりを探してしまう。
最近は宿舎に帰ってる。
あの部屋にはAとの思い出しかないから。Aが僕を呼ぶ声が聞こえて、振り返っても…誰もいない…。
もうどこにもAの香りも温もりも残ってない。
どこにいるの？今、ねえ…
何してるの？今、ねぇ…
誰といるの？今、ねぇ…
ねぇ…Aは笑ってるの？
僕みたいに毎日泣いてない？
こんなに辛い想い、Aもしてるの？
こんなに辛い想いなら、Aはしなくていいよ。あの向日葵みたいな笑顔で笑ってて。
何百回も同じ事を心の中で呟いた。
今日も宿舎から一旦、二人で住んだ部屋の前に行く。玄関を開けて、すぐ閉める。
もしかしたらAが帰ってきてるかもしれないって、バカみたいな期待をしてる。これが最近は朝の日課になっている。
今日も変わらず、僕の物しかない玄関。
忙しい毎日でも、僕の心はずっとAを探しては、見つからなくて、泣き腫らした心は空っぽ。
Aへの気持ちをぶつけた歌をいくつも作った。
こんな状況だから、どんどんいい曲ができた。
明日からはD&Eのjapanツアーが始まる。
日本に帰ってきてるのかな？
見てくれてたりするのかな？
客席を隅から見ていったって、Aがいるはずなんてなくて…
毎公演、全力を出して、くたくた…
日本に来た時に泊まったAのマンションに行ってみた。インターホンを押しても反応はない。
丁度人が来て、オートロックの扉が開いた。
僕はその後ろからこっそり中に入った。
Aの部屋の前でインターホンを鳴らしてもやっぱり反応はない…
Aが帰ってくるのを待った。どの位待ったか分からないけど…時計を見ると日付が変わっていた。
すると、近づく足音。
ドキっとする心臓。
パッと顔を上げると、そこには知らない女性が僕を不審そうな目で見て、Aが住んでた部屋に入って行った。
あぁ、もうここには住んでないんだ。不審者だと思われたよね…早く出てかなきゃ…
小さな期待は見事に潰れて、ホテルに戻りヒョクに泣きついた。
長いようであっという間のjapanツアーは終わった。
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作者名：shino | 作成日時：2017年1月10日 16時
