Rain-1 (ページ8)

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帰国 side D ページ8

パーティーの次の日、午後の便で韓国に帰ることになっていた。

僕はというと、昨日のAのことを思い出してはため息ばかりを出していた。

韓国に戻ったら本当に二度と会うことはないだろうと…

もう、昨日の事がまるでなかった事になってしまうような気がして…

今日何度目だ？なんて思う程のため息が出た。

E「おい、ドンヘ～車に行こう」

D「ヒョク？」

E「何でお前は帰る支度、してないの⁇」

ヒョクは呆れたように言った。

D「ヒョク～～；；」

E「とにかく早く荷物まとめろよ～ったくもう」

D「ヒョクありがと」

Aの事を考えていたら、時間の事なんかすっかり忘れていた。

時計を見ると、ちょうど12時を過ぎたところだった。

ロビーに行くとマネヒョンが「遅い！何やってたんだよ」と言ってきた。

僕は素直に謝り、車に乗り込んだ。

日本と韓国。近いようで遠い、遠いようで近い。

また、会える日がいつか来るのだろうか…

次に日本に来たときは、またあのバーに行ってみよう。
今はそれしか僕とAを繋ぐものがないから。

そんな事を考えながら、隣にいるヒョクの肩に寄りかかった。

韓国に着くと、すぐにスタジオに行き曲作りに励んだ。

仕事はたくさんある。覚えることもたくさんある。やらなきゃならないこともたくさんある。

韓国にいることで、Aに会うことはないんだと割り切れているせいか、ありがたい事に仕事がたくさんのせいか、Aを思い出す事が少し、ほんの少しだけ減っていた。