episode 122 いるはずのない ページ22
「もう、、ちょっとお姉さん〜、ちゃんと歩ける？、」
ルカ「、、ぁ、大丈、、夫、です、、、すいませんっ、、、」
一杯だけ飲むつもりがあの後焼酎にまで手を出してしまって悪酔いしてしまった。
幸いマンションはここから近い。
重い足を引き摺って帰路に着いた。
辺りはすっかり夜が更けて人通りもまばらで、ひんやり冷たい夜風がお酒で火照った頬に心地よい。
マンションのエレベーターに乗り込んで、部屋までの短い廊下。
その時、一瞬で酔いが冷めた。
ここにいるはずのない彼がいたからだ。
何で？、、、どうして、、、
「、、っルカ！！、」
パーカーのフードから覗くキレ長の三白眼は私の姿を見てすぐに駆け寄ってきた。
苦しいほどの抱擁と、懐かしさすら感じてしまう彼の匂い。
ルカ「どうして？、、何でここに居るの？、、テヒョンっ、、」
頭の中は打ちつけたような衝撃で、テヒョンの大きな体に埋まったまま身動きも取れなくなっていた。
ﾃﾋｮﾝ「、ごめん、、、どうしても会いたくて、、シンヒヌナがどうしても教えてくれないから、、勝手に住んでる所調べた、、その時知ったんだ、、あいつとルカのこと、、」
耳元で聞こえるテヒョンの低い声。
もう二度と感じることはないと思ってた体温。
急なことに心臓の鼓動が異常なほど速くなって、何にも言葉がまとまらない。
ﾃﾋｮﾝ「俺、、、ルカのことだけはどうしても諦められなかったっ、、無理だった、、、ヒョンたちにはルカの家には行くなって言われてたけど、、っ、いてもたってもいられなくて、」
私を抱き寄せた両手を頬に当てて、もうすぐキスしそうな距離に顔を近づけるテヒョンを払い除けた。
そんな時に鳴るスマホはジフンからの着信を告げる。
ルカ「、、ごめんなさい、」
そう言って電話に出ようとする私を阻んで腕を掴むテヒョンの手は。
私なんかより酷く冷たくて。
ﾃﾋｮﾝ「、、電話、、出ないで、」
そう呟く彼は今にも消えてしまいそうなほど儚い。
私、、、本当にどうしちゃったんだろう。
ルカ「、、外は冷えるから、、風邪引くでしょ？、、、」
玄関の鍵を開けて、テヒョンを家にあげた。
彼の瞳を見てしまったら最後。
けたたましく鳴るスマホが虚しく響いて。
ごめんなさい、、ジフニ、、、
ﾃﾋｮﾝ「ルカ、、っ、ずっとこうしたかった、、、」
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作者名：Apple | 作成日時：2022年11月8日 23時
