3週目 ページ9
あれから1週間、今日はまだ観音坂さんは来ない
……エスカレートして、手についた白い液体に信じられないほどの鳥肌が経って窓口の向こうにいるニヤニヤしたジジイに殺気立った
私だって経験がないわけじゃない、液体の正体ぐらい分かった
そのジジイは間違いなく先週観音坂さんを追いかけた時に無視したジジイで、多分復讐のつもりなんだろう
……しかも今週、今日が初めてじゃない
しねやほんと汚っ
「……えっとたしかに1600円受け取りました、お大事になさってくださいね〜」
それでも営業用の笑顔を貼っつけてにこやかに手を振った
正直もう限界かも……
でも奥さんに迷惑はかけられないしなぁ……
出ていった患者を見送ってウエットティッシュを何枚も取った
「……はぁ」
掌のねっとりした白いのをなんとなく眺めた
こいつのせいでもう4日ほどご飯食べれてない
……助けて欲しい
「営業です」
「あ……観音坂さん」
窓口を覗いた疲れきった影にびっくりして
いそでその手をウエットティッシュで拭いた
拭いても拭いてもまだどこかについてて、観音坂さんに情けない姿を見られてしまうんじゃないかなんて心配になって泣きそうになった
「Aさん、寝てます?」
「……え?」
拭いてると突然、だいぶと心配そうな顔の観音坂さんが手を伸ばして私のほっぺたに触った
「……痩せましたよね」
「……え、や、あの」
結構今日攻めてくる観音坂さんの手が
久しぶりに感じた暖かさでちょっとびっくりしたけど心地よくて
返答に困ってしまった
「……ダイエットしてたんですよ、友達の結婚式が近くて、へへ」
「そう……ですか」
やっぱり正直には言えずに精一杯の笑顔で自分は元気ですよアピをかましたつもりだけど観音坂さんさんの心配顔は治らない
ほっぺたから引かれた手に一気に顔が冷たくなった気がしてまた泣きそうになった
……ほんとはもっと触れてて欲しかった
なんて疲れすぎてるな、やめよやめよ
「……よし」
今日何個目かわかんない飴を口に詰め込んで書類のある方に椅子を転がした
「……Aさん」
「なんです……か?」
窓口から呼んだ観音坂さんに顔を向けると心配顔っていうか複雑な顔になって私を見ていて少しギョッとした
「俺にもっと頼ってください」
多分その言葉が今までで一番誰かから聞きたかった言葉で書類なんてバラまいて観音坂さんの元まで走った
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失格人間。(プロフ) - おおわああああああぁぁぁ最高ですです!!更新頑張って下さい!!!!!! (2019年4月4日 12時) (レス) id: bb922c1436 (このIDを非表示/違反報告)
ままま(プロフ) - むぎさん» コメントありがとうございます、わああ嬉しいです!!ない脳みそを絞りに絞ってネタ考えます、、今後も何卒あよろしくお願いします (2018年12月3日 12時) (レス) id: 16f3e8df7f (このIDを非表示/違反報告)
むぎ(プロフ) - あの…続編……早く読みたいです…めちゃくちゃ面白かったです!!!まじ独歩最高です! (2018年12月2日 23時) (レス) id: 3e1d248cd9 (このIDを非表示/違反報告)
ミレナ(プロフ) - まままさん» いえそんな!!楽しませてもらってます!!頑張って下さい!! (2018年8月27日 19時) (レス) id: 8824a387c8 (このIDを非表示/違反報告)
ままま(プロフ) - ミレナさん» コメントありがとうございます、私の語彙力が酷いもので申し訳ないです、楽しんでいただけたなら幸いです、今後も何卒よろしくお願いします (2018年8月27日 19時) (レス) id: 16f3e8df7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ままま | 作者ホームページ:󾮗
作成日時:2018年6月30日 12時