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「……いった……」
ちっちゃい時から道場やってる実家のおかげで身についたこのよくわからんうちの家の武術のせいで鍛え抜かれたこの脚力で
観音坂さんの掌の関節という関節を鳴らした
なかなかの音だけど骨折……なんて大層なことになるほど最強ではないし地味に痛いこの技
人生で使う日が来るなんて5歳の頃から思ってなかった
「大丈夫です、折ってはないんで」
見事に技を食らって俯いてる観音坂さんを見下ろしながら気づいたことがある
このどうしようもなくネガティブな30手前(?)のリーマンは誰かに金銭面以外で生活を支えてもらわないとダメなタイプ、
つまりなかなか母性本能が湧く
多分、さっき観音坂さんが死んじゃうって想像した時に限りない不安が襲ってきて生きてるって感じた瞬間泣いてしまったのも
膝抱えられて心臓バックバクしたけど嫌な気分じゃなかったのも
母性本能……?
「とりあえず、病院まで送ります……」
投げ出された鞄を拾って、よっこらしょ……と効果音がつきそうにゆっくりと立ち上がった観音坂さんは手をグーパーさせた
「いや次の営業ありますよね……」
さっきよりも身長が高くなって私が見上げるようになった
拒否した私を観音坂さんはちょっと不満そうな顔して見下ろした
「……はぁ」
観音坂さんはそこそこ大きいため息を着くと私の膝と背中に手を回した
「……ちょ」
そのままちょっと膝に痛みが走って気がついたら足に地面の感覚がなくなった
「まってまってなに、何してるんですかちょっと、むり、むりむりむり」
突然の事で、そんな俗に言うお姫様抱っことやらは親と海に行った時に水の中に投げこまれるあの遊び以来のこと
謎のドキドキと浮遊感から来る恐怖にどうすることもできなくて観音坂さんのワイシャツを掴んだ
「……俺の前でまでその営業用しなくてもいいです」
「……え?」
病院までの道を歩き始めた観音坂さんは静かに呟いた
かすかな声だったのにしっかり聞こえて
若干震えてた手と思考回路が止まってすごい体内が静かになった
ただただうるさい心臓の音だけ聞こえる
「ニコニコしてるよりそうやって感情豊かなAさんの方が俺は好きです」
「……は」
……好きです
好きですって私今言われた
『テメェなんてさっさと死ねば?』
『大っ嫌いこのアバズレ女!!』
そんな記憶が思い出されて久しぶりの言葉に嬉しくてまた涙が出た
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失格人間。(プロフ) - おおわああああああぁぁぁ最高ですです!!更新頑張って下さい!!!!!! (2019年4月4日 12時) (レス) id: bb922c1436 (このIDを非表示/違反報告)
ままま(プロフ) - むぎさん» コメントありがとうございます、わああ嬉しいです!!ない脳みそを絞りに絞ってネタ考えます、、今後も何卒あよろしくお願いします (2018年12月3日 12時) (レス) id: 16f3e8df7f (このIDを非表示/違反報告)
むぎ(プロフ) - あの…続編……早く読みたいです…めちゃくちゃ面白かったです!!!まじ独歩最高です! (2018年12月2日 23時) (レス) id: 3e1d248cd9 (このIDを非表示/違反報告)
ミレナ(プロフ) - まままさん» いえそんな!!楽しませてもらってます!!頑張って下さい!! (2018年8月27日 19時) (レス) id: 8824a387c8 (このIDを非表示/違反報告)
ままま(プロフ) - ミレナさん» コメントありがとうございます、私の語彙力が酷いもので申し訳ないです、楽しんでいただけたなら幸いです、今後も何卒よろしくお願いします (2018年8月27日 19時) (レス) id: 16f3e8df7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ままま | 作者ホームページ:󾮗
作成日時:2018年6月30日 12時