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「…誠也とのこと、知ってるんですね」
「あ、…うん、聞いた」
誠也と喧嘩して家出してきましたなんて、言えない。
携帯はバッテリー切れ、財布も持ってない、大橋さんには助けてもらったし、もう迷惑はかけられない。
「末澤と同期やねん俺」
「そうなんですか?全然知らなかった…」
「俺の話、あんませえへんのやろ?」
「はい、…聞いた事なかったです」
「…とりあえず、丈くんに連絡してみるわ」
そう言って電話をかけ始める大橋さん。
誠也、大橋さんとはあんまり仲良くないのかな。
「あ、丈くん?…今、Aちゃんとおるねんけど」
え、…?
なんで私の名前知ってるの?
私教えたっけ、…丈くんから聞いたのかな。
「え?…末澤が?…そう言うことやったんか、…うん、分かった」
大橋さんは私に携帯を渡してきた。
「…丈くん?」
『何してるん?末澤めっちゃ探してんで?』
「ごめんなさい…」
『俺の電話にも出えへんし』
「携帯の充電切れちゃって」
『…夜やし危ないから大橋に送ってもらって』
電話越しの丈くんはちょっと怒ってて、私いろんな人に迷惑かけちゃったなって反省した。
『大橋に代わって』
「うん、ごめんね、…大橋さん」
「え、俺?…丈くん?………うん、分かった、…帰すよ、…分かってるって」
丈くん何言ってるんだろ、…大橋さんがちょっと強めに言い返してて、少し気になる。
電話を終えた大橋さんは、とりあえず食べよっかって途中で運ばれてきたご飯を食べ始めた。
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作者名:まぷ | 作成日時:2023年1月10日 18時