色は思案の外 - 2 - (ページ29)

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「…なかなか会えへんし、もう別れよ」

「……うん、そうだね」

1年前、私たちはお互いにとってこれが一番いいと思って、お互いの為に別れた。

でも私はしばらく誠也を忘れることは出来なくて、新しい恋愛もせず、1年過ごした。

最初の3ヶ月は辛くて、体調を崩したりすることも多かったけど、徐々にその感情は薄れて行った。

家が近かったから、たまに誠也を見かけたりすることもあって、その時は胸がギュッとなったけど、姿が見えなくなれば落ち着いた。

「Aちゃん」

誠也のことを知っていて、尚且つちゃんと話をできる相手は、丈くんくらいしかいなくて、無意識に電話をかけていた。

仕事中だったのか折り返しがあったのは1時間くらい経ってからだったけど、私はその間訳も分からずずっと涙が止まらなくて。

「末澤とちゃんと話さんと、…昨日のこともちゃんと」

「無理だよ、…もう、話してくれないと思う」

「そんなことないって、」

丈くんはたくさん励ましてくれるけど、もう戻れる自信はなかった。

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