第32話:新しい友達 ページ34
その後、薬のおかげでアイリスの魔力が回復して自力で身体を起こせるようになった。ただ、すぐに動かすのは私としても不安だし、何よりアイリスが助けてくれたミレーネと話したいとのことだったので、3人でベンチに座って話をした。
ミレーネの両親は魔法薬を調剤する薬剤師らしく、困った時のためにと彼女に沢山の魔法薬を持たせてくれているらしい。
「でもなんでミレーネは私のこと助けてくれたの?……私、
しばらく他愛もない話をした後、アイリスがふと思い出したかのように言った。彼女が自分を卑下するようなことを自ら口に出したことに驚く。彼女が私とルーファス以外の人間に弱音を吐いたのは初めてだったから。
「私もそんなに魔力量多くないから、気になっちゃって。」
ミレーネはアイリスの問いに目を瞬かせて、ふっと綻ぶように笑った。アイリスの笑顔を花が咲くようだと例えるならミレーネのそれは美しい絵画のようだ。
ミレーネはそれに、と言葉を詰まらせて私の方に視線を向けた。
「カッコいいと思ったから。魔力量をひけらかさないで、みんなに平等に接してくれるオリヴィアちゃんのこと。」
心臓を鷲掴みにされた気分だった。私は彼女が言うような聖人でなく、ただあの時のはアイリスを他のみんなから守りたくて牽制してただけ。決してみんなのことを思ってたわけじゃなく、むしろ自分の大切な人間には笑ってて欲しいという私のエゴだったのに。
屈託のない笑顔を浮かべるミレーネを騙しているような気分になって、心が痛かった。
「私もオリヴィアちゃんのように、魔力量で誰かを差別しない人間になろうって思えたの。」
それと同時に、こんな私のことをカッコいいと言ってくれただけでなく、私を認めて私のようになりたいって言ってくれた彼女のことを尊敬した。他人のことを認めて歩み寄る心は今の私に足りないものだから。
それからしばらくミレーネと話していたら段々と日が暮れてきた。薬を飲み充分休んだアイリスの体調はすっかり回復したようだ。このままここにいては夕食を食べ損ねてしまうので、3人で連れ立って寮への道を歩いた。
ミレーネは呪術師であるアイリスのことを見下さないどころか、寧ろアイリスと気が合うみたいだった。お互い占いが好きという共通点を見つけたからだろう。
基礎魔法学の時間をアイリスと一緒に過ごせないことが不安だったが、彼女と一緒なら大丈夫そうだ。
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えるふぃ(プロフ) - ゆいな♪さん» ゆいな♪さん、ストーリーをお褒め頂きありがとうございます(*´ω`*) 描写頑張った甲斐があります!これからもっともっと引き込んで行けるように頑張りますね!応援ありがとうございます! (2019年8月24日 23時) (レス) id: 2cfa1564f2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいな♪(プロフ) - あわわ、す、すごいです!ストーリも分かりやすいので、凄い引き込まれます!更新頑張ってください! (2019年8月16日 13時) (レス) id: 0214723abe (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - ぽむぽむぽあろさん» ぽむぽむぽあろさん、ありがとうございます!そんな風に褒めてくださって嬉しいです!読み手に情景が伝わるように書くのが目標だったので(*´ω`*) 夏休みに入ったら更新速度上げられるように頑張ります!応援ありがとうございます! (2019年7月30日 22時) (レス) id: 2cfa1564f2 (このIDを非表示/違反報告)
ぽむぽむぽあろ(プロフ) - 設定がしっかりしてるので、お話の内容がアニメーションになって頭の中に浮かびます。とても面白くて好きです。もっと伸びてておかしくないと思うので更新頑張ってください! (2019年7月30日 12時) (レス) id: b97deb3170 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - ちょこころねさん» ちょこころねさん、はじめまして!世界観とキャラの設定は一番力を入れたところなので、そこを褒められるとめっちゃ嬉しいです!文章長いのに一気読み、おつかれさまです!ちょこちょこ更新するのでよろしくお願いします! (2019年1月18日 10時) (レス) id: 2df896d132 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えるふぃ | 作成日時:2018年9月23日 21時