第9話:魔力至上主義 ページ11
園内を探し回っても見つけられなかった探し人。帰る間際に誰かから聞いた話では、
この神子幼稚園で今日一斉魔力検査を受けた年長組の子たちは全員で百人くらいいて、私らの組も合わせると約三十人弱が小魔力者だったのだとか。
私は今すぐにでもルーファスの家へ向かって、彼に会いたかったが、なにせ距離が離れすぎている。家の執事が迎えに来てくれる時間になるまで、部屋の隅で膝を抱えて待つ。
部屋の中のみんなの様子はまちまちだった。親の階級より低くて落ち込んでいる子、逆に自分が小魔力者だと思ってたのに高い階級になって飛び跳ねている子。ぼーっと眺めていると今まで組の中で威張っていた子が、より階級の高いいじめられっ子にパシリにされている光景も見えた。
そんな中でも特に酷かった反応は、私に対するみんなの態度だった。
あの最後の検査時、私を担当した女性が驚いていたのは、持ってきた簡易な測定機械では測れないくらいの
それを知った園の先生は私の事をもてはやし、まるで神様でも相手にしているかのような態度をとった。遠目で見ていた子たちもその様子を見て何となく悟ったみたいで、今まであまり話した事ない子も私と話そうと押しかけてきたほど。
この世界は魔力が全てだってことを心の中で分かっていたつもりだった。だけど人間ってこうもすぐ変わってしまうのかと思うと悲しかった。
「オリヴィア様、結果はどうでしたか?」
「……ん、よかったよ。」
時間になって迎えがきて。園帰りはいつも弾む会話も、今日はそんな気分になれなくて。
家へ帰り着き、自分の階級を両親に報告すると、二人は自分のことのように喜んだ。魔法使いになった証明書を渡すと、それはもう飛び跳ねて。
盛り上がった両親に、お祝いに美味しいものを食べに行こうと誘われたけれど断って家を飛び出す。
すぐ隣のルーファスの家に行って呼び鈴を鳴らしたけれど出てきたのは彼の父親で。彼は私を見ると罰が悪そうな顔をして「魔法使いに小魔力者を合わせるなんて無礼だから」なんて言われて追い返されてしまう。
「あーもう……やんなっちゃうな。」
服も着替えないままベッドにダイブすると、もう立ち上がる気力も湧いてこない。
そのまま目を閉じると胸が苦しくなって、どうしようもできないまま眠った。
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えるふぃ(プロフ) - ゆいな♪さん» ゆいな♪さん、ストーリーをお褒め頂きありがとうございます(*´ω`*) 描写頑張った甲斐があります!これからもっともっと引き込んで行けるように頑張りますね!応援ありがとうございます! (2019年8月24日 23時) (レス) id: 2cfa1564f2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいな♪(プロフ) - あわわ、す、すごいです!ストーリも分かりやすいので、凄い引き込まれます!更新頑張ってください! (2019年8月16日 13時) (レス) id: 0214723abe (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - ぽむぽむぽあろさん» ぽむぽむぽあろさん、ありがとうございます!そんな風に褒めてくださって嬉しいです!読み手に情景が伝わるように書くのが目標だったので(*´ω`*) 夏休みに入ったら更新速度上げられるように頑張ります!応援ありがとうございます! (2019年7月30日 22時) (レス) id: 2cfa1564f2 (このIDを非表示/違反報告)
ぽむぽむぽあろ(プロフ) - 設定がしっかりしてるので、お話の内容がアニメーションになって頭の中に浮かびます。とても面白くて好きです。もっと伸びてておかしくないと思うので更新頑張ってください! (2019年7月30日 12時) (レス) id: b97deb3170 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - ちょこころねさん» ちょこころねさん、はじめまして!世界観とキャラの設定は一番力を入れたところなので、そこを褒められるとめっちゃ嬉しいです!文章長いのに一気読み、おつかれさまです!ちょこちょこ更新するのでよろしくお願いします! (2019年1月18日 10時) (レス) id: 2df896d132 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えるふぃ | 作成日時:2018年9月23日 21時