第五十夜：この前の続き ページ5
今日の分の仕事を終えたはいいものの、全く知らない煌帝国で何をして過ごせばいいか分からず迷っていた。二度寝するには目が冴え過ぎてしまったし、情報収集のため本を読みたくても書物庫の場所が分からない。そこらを歩いている人に聞けば分かるんだろうけど、自分から見ず知らずの人に話しかけるのが面倒だった。
「あれー、Aじゃん。こんなところで何してるのぉ？」
「あー、紅覇さん。今、例の仕事してきた帰りだよ。」
「ふーん。……じゃあ暇でしょ？ちょっと付き合ってよ。」
ふいに背後から声をかけられ、振り返ると眠そうに欠伸をした紅覇さんがいた。側には従者っぽい女の人が３人いる。
彼は興味なさげに僕の話に相槌を打ったかと思えば、表情を一転させた。まるでいいこと思いついた、とでも言いたげな顔だ。
暇でしょ、と決めつけられて少しムッとしたが実際暇なので大人しくついていくことにした。まぁ、話も聞かずにいきなり斬り掛かってくるような男だ。どうせろくな用事じゃないだろう。
＊
案の定連れられたのは建物から少し離れた広間だった。周りには人っ子一人いない。
床がかなり硬い材質で作られていることと、周囲に何も障害物がないことから、何かの鍛錬場として使われてそうだ。
「大体予想ついてるんだけど、ここで何させる気なの？」
「そんなの、この前の続きに決まってるじゃん！」
戦闘狂なこの男のことだから、そんなことだろうと思った。しかしまぁ、戦いの何が楽しいのか僕には全く理解できない。
「金属器使いと魔導士とじゃ戦いになんないと思うけど？」
「謙遜しなくても、Aは十分強いでしょ。」
やんわりとやりたくない意を示したが、紅覇さんには全く通じなかったようだ。仕方ない、どうせ暇だし彼に付き合うことにしよう。
十分な間合いをとって杖を構える。この前は金属器使いのフリをするため一属性の魔法しか使わなかったが今回は違う。複数属性の魔法を使えることが魔導士にとっての最大のアドバンテージ。
いくら面倒だからと言って僕にもプライドはある。みすみす負けてやるわけにはいかない。
＊
僕もかなりの数の魔法を撃ったし紅覇さんは武器化魔装を使ってきたけれど、結局この戦いに決着は付かなかった。
お互い息も絶え絶えだし、今日のところはこれで終わろうということになった。
以外に熱中してしまったようで、すでに日が暮れてしまった。昼食をとっていないお腹が、空腹を訴えるようにぐぅと鳴った。
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ブルー★アース(プロフ) - おもしろいです！続き希望 (2020年8月14日 13時) (
レス) id: 45f118772d (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - 更新楽しみです (2020年6月6日 3時) (レス) id: 0e552ce067 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - イルさん» イルさん、ありがとうございます。面白いと言ってもらえてよかったです。魔法の名前は、アラビア語を参考に付けてます！ (2020年5月17日 12時) (レス) id: 2cfa1564f2 (このIDを非表示/違反報告)
イル - 作者さん！すごく面白いです！！あと、魔法の名前ってどうやって決めてるか気になります！ (2020年5月17日 8時) (レス) id: 9fea9825a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えるふぃ | 作成日時：2020年5月15日 16時
